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生命保険の責任準備金とは?

世の中、例え親子や兄弟姉妹であっても、その立場や序列は容易に変動します。
弟が兄より高い社会的地位を得る事は決して珍しくなく、子が親を追い越すのもよくある事と言えるでしょう。
それどころか、親というのは奇妙な生き物で、心のどこかで必ず、そう望んでいるものではないかとすら思われます。

ですが、いかなる場合も、変わる事のないのが年齢差で、父と息子、母と娘、そして、兄と弟の年の差も、姉と妹の年齢差も永遠に変わる事はありません。
人間として生まれた以上、全ての人は同じペースで年を重ねて行きます。
しかも、成人するまでそれは成長ですが、以後、老いる事になってしまうのです。

加齢とともに上がる保険料

実は、その事を実に顕著に反映しているのが生命保険で、加齢とともに病気になったり、他界する確率が増すため、保険料は着実に上昇します。

よって、加入時の年齢で払込金額が決って来る訳ですが、それがどういう計算で弾き出されているのか?
ご存じない方も多い事でしょう。

また、なぜ死亡すると、払い込んだ以上の保険金が受け取れるのか?
こちらも不思議なところではないかと思われますが、それらは全て、責任準備金というものがあるからに他なりません。
そこで今日は、そこをちょこっとご紹介したいと思います。

まず、加入時の年齢ごとの保険料の算出ですが、それは死亡率によって計算されます。
ちなみに、30歳で亡くなる方の率は男女ともに0.3パーセント程度ですが、それが40歳になると約0.6パーセントと2倍に増え、さらに50歳になると、1.6パーセントほどもに急増するのです。

とは言え、60歳を過ぎても、その数値は10パーセント以下である事を考えると、間違いなく日本は長寿国であると言っても過言ではないでしょう。

されど、30歳男性の年間死亡率が0.3パーセントであるという事は、1,000人いれば、そのうちの3人ほどは近々お亡くなりになるという事になります。

予定死亡率と1人当たりの負担額の計算

そこで、この1,000人に3人という割合の数値を予定死亡率といい、ここでは、その1,000人が揃って死亡補償金100万円の終身保険に加入したとして考えようというのです。

となると、1年間で3人の方は、その保険金を受け取られる訳ですから、最低でも300万円は必要になります。
なので、1,000人で寄ってたかって、その300万円を準備しなければなりません。
なんで人のためにと思われるかも知れませんが、それが生保だからです。

すると、1人当たりの負担額は3,000円となり、それを月割りにすると250円!
そう、この250円こそが月額保険料になるのです。

しかし、この予定死亡率が40歳になる頃には、倍の6人に跳ね上がり、1,000人で600万円のお金を準備しなくてはいけなくなってしまいます。
そうなると、月々の支払いも500円に上げなければならず、定期保険の場合は、更新時にそれが反映される事になるでしょう。
ただ、更新期限のない終身型においては、頻繁に保険料を計算し、変更するのは、誰もが面倒なものです。

投資額を算出し月額を割り出す

ならば、どうしたらいいか?
答えは簡単です。

そこそこの期間を決め、その間にこのお客様には、いくらくらいのお金を払い込んでいただかなくてはならないか、要するに、いくらくらい投資してもらえるかを算出し、それをその月間で割ればいいのです。
このそこそこの期間を払い込み期間と言い、通常60歳を目安に設定される事が多いように思います。

ですので、万60歳で払い込み期間満了を迎える終身保険に万30歳で入ったと仮定し、もっと分かりやすく計算すると、最初の10年間は年間3,000円ですから、それ掛ける10で3万円。
その次の10年間は6,000円掛ける10年分で6万円。

そして、50歳からの10年間の予定死亡率は1.6パーセントとすると、16人の方が命を落とされる訳で、必要な保障額は1,600万円になりますから、それ割る1,000人で、1万6,000円となります。

そして、その10年分という事はですね、16万円ですから、ここに先の3万円と6万円を足すと25万円となり、これを30年で均等割すると、年間の金額は8,400円ほどとなりますね。
なので、それをさらに月割りした保険料は、700円となる訳です。

多額の保険金が受け取れる仕組み

要するに、30代の頃は、本当は月額250円でいいはずなのに、3倍近いぼったくりをされている事になりますが、逆に50代に突入すると、月々1,300円以上払わなくてはいけないはずのものが、半分弱でいい事になり、言うならば、お得感を味わえる訳です。

そうなんです、このように、生命保険というのは、若いうちは老後のために大目に払い込んでいるような形で、謂わば、年金を納めているような感覚があるのです。

ただし、それは将来のためのものですから、大切に残しておかなければなりません。
という事で、過分に徴収し過ぎた部分については、どこの保険会社も、必ず大事に積み立て、今後、万が一の事があれば、いつでも給付金や保険金として支払えるように万全の体制を整えている訳です。

これを「責任準備金」と呼び、これがあるからこそ、途中で死亡しても、それを切り崩す事によって、多額の保険金が受け取れるという仕組みなのです。

資産運用と予定利率

ところが、加入者が減少すれば、それだけ責任準備金も集まらない訳で、十分確保しようにもできませんし、もう一つ、我々消費者が気を付けないといけないのは、実は保険会社は、この貯蓄の一部を遣って、派手に資産運用をしているという事です。

勝手にそんな事されてはと思われるかも知れませんが、最初から彼らはそれを想定し、その財テクによって儲かる分を差し引いた額を契約者に払込総額として提示し、請求しているのです。

そして、加入者にその利回りを約束した数字が「予定利率」!
この予定利率は、金融庁が定める標準利率を元に、各社それぞれに設定しています。
ですから、それでも契約したという事は、承諾したも同然で、文句は言えません。
ただただうまく行ってくれる事を期待するのみです。

また、この予定利率こそが真の生命保険の価値を決めるとも言われていて、当然の事ながら、その数字の高い商品は高利回りとなるため、解約時の解約返戻金の額も高まります。

しかし、実際には今の時代、こうした資産運用が厳しい事は言うまでもないでしょう。
しかも、契約者が減少すれば、その元手となる責任準備金も乏しくなり、下手をすると先の3人分の死亡補償金も十分払えない状況が生じる可能性は低くありません。

そうなれば、破綻の道を辿る事になる訳です。

されど、将来のために必要以上のお金を払っているにも関わらず、取引先の保険会社が倒産したのではたまったものではありません。

しかも、ある程度の年齢に達していれば、新たに他社で加入しようと思っても、健康面や経済面でのリスクは高く、正に泣きっ面に蜂となる事も大いに考えられます。
一体全体どうしてくれるのよと言いたくなるでしょう。
ではでは、実際どうしてくれるのでしょうか?

吸収や合併、あるいは株式取得という形で再建が成される

まあ多くの場合、同業者の中から救世主となる者が現われ、吸収や合併、あるいは株式取得という形で再建が成されます。
ですので、そのままその救済保険会社に移行される事になるでしょう。

でも、もし、その引き取り手が現われなかったらどうなるのか?
その時は、保険契約者保護機構の出番です。
国内で保険会社を営むためには、必ずこの保護機構に加盟しなくてはならないという規定があり、例え外資系であろうが、ネット専業であろうが、ここの支援を受けられない会社も商品もありません。
ですので、最終的には、こちらが設立する承継保険会社によって持続される事になります。

ただし、その場合は、高利率の商品や条件のいいプランについては見直され、90パーセントまでしか保障されない事も珍しくありません。

加えて、仮に大手が引き継いだとしても、自らの首を絞めるような事はできませんから、予定利率を下げる事となり、これは法令でも認められている正当な行為です。

そのため、再加入の手続き不要で、健康状態を気にしなくても、引き続き既存の生保の維持は可能ですが、解約返戻金などの条件が大幅に悪くなる覚悟は必要だと言えるでしょう。

という事で、この責任準備金がいかに大切かという事はお分かり頂けたかと思います。

また、ギャンブル性を楽しむのであれば、利率の比較の出来るランキングなどを参考に保険会社を選ぶのも面白いかとは思われますが、やはり安定した経営をしているところで契約するのも安全対策と言えそうですね。

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