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生保と言えば生命保険の通称ですが、それとは別にもう一つ、生保と呼ばれるものがあります。
それは、最後のライフラインと言われている生活保護!
実は、この2つの生保の間には、複雑な関係があるという事をご存じでしょうか?

まず、生活保護というのは、仕事がなく、収入もなく、生計を支援してくれる人もなく、且つ、自分自身に資産が全くない人のための制度です。

よって、申請するに当たっては、持ち家や自家用車があれば、先にそれを処分し、そのお金で生活できるところまでした後に、改めて相談に来て下さいという話になるでしょう。
預貯金は真っ先に使い果たす事を言い渡されるものです。

解約返戻金も生活費に充当する?

ですので、病気や怪我のために会社を辞め、まとまった退職金や治療のための給付金を生命保険から受け取った場合も同様です。
取り敢えずは、それで生き延びるのが鉄則!しかも、生命保険の場合は、それそのものが資産ですから、それと同時に解約し、解約返戻金も生活費に充てる事を命じられます。そして、それらが底を突いて初めて、受給申請ができるという流れになっているのです。

ただし、最初に弾き出された最低生活費、そこには月々の衣食住に掛かる必要最小限の金額が、年齢と家族構成を元に算出される訳ですが、これの約半分程度の資産なら、持っていても問題ないだろうと見られます。

というのも、人間、いつ何時、お金が必要になる事になるか分かりません。
極端な話、冷蔵庫や洗濯機などの生活家電が壊れても、生保においては、保護費の中からやりくりして直すなり、買い換えるなりするのが規定で、そういう事態を想定した少額の蓄えは、一応許されるという訳なのです。

とは言っても、その額は、40代の単身者なら、15万前後ですから、その半分となると、わずか7万円ほどですね。
よって、現時点で潰したところで、入って来る返戻金がこれ以下の終身保険や養老保険、あるいは学資保険なら、問題ないという事にはなるでしょう。

けれど、この程度しか返って来ない事は、加入後間もない時期しか考えられず、今後、それを継続して行くには、長期に渡ってそれなりの保険料を支払わなければならないという事になります。

果たして、必要最小限の生活費しか支給されない保護家庭で、それが可能なのかどうか?
ここが問題視され、最終的には、それが支払えるだけの余裕があるのであれば、その分は受給額から差し引きましょうという事になります。

終身型や積立型の保険は預貯金と同じ扱いになる

narrator
そもそも金融資産である終身型や積立型の保険は、預貯金と同じ扱いになり、月々払い込むという事は、資産形成をする事になるのです。

人様が汗水垂らして働いて納めた税金で生活させてもらっていながら、自分の財産をしっかり作るなんて勝手な事が許されるはずはなく、ここがこれまで自らが掛けて来たものを受け取る年金生活者との最大の違いであると言っても過言ではないでしょう。

よって、いずれにせよ、既存の生命保険は、生活保護を受けるためには解約するのが鉄則だと思っておかれた方が無難です。
内緒で何とかと試みる方もおられますが、生活保護を申請すれば、役所は必ず、いくつかの身辺調査をし、金融機関や保険会社との取引状況も全て調べます。

それに同意しなければ、受給手続きが先に進みませんから、それを拒否する事イコール、保護を諦める事になるでしょう。
そして、その調査が入れば、銀行や生保会社は、世にもあっさり洗いざらい情報提供してくれますね。
となると、隠すのは至難の業だと言えそうです。

でも、やっぱり大病や大けがをした時の事を考えると不安だし、亡くなった時の葬式代くらいは何とか準備したいとおっしゃる方は大勢おられます。されど、生活保護の受給者には、そんな心配はご無用!病気になれば医療費扶助で、死亡すれば葬祭扶助で、しっかりと面倒見てもらえます。つまり、終身保険や医療保険がなくても、ちゃんと困らないように手厚くサポートされているのです。

受給者が被保険者になるのは可能なの!?

とは言っても、生活保護の受給者が被保険者になるだけなら、何ら問題はありません。

なぜなら、保険料を支払うのは契約者であって、給付金や保険金を受け取るのは、受取人だからです。
つまり、自らが支出や資産形成をする訳ではなく、それを手にできる権利もないのですから、誰も何も言わないという訳です。

しかし、ここにもまた、大きな落とし穴があって、契約者が親や子、兄妹と言った親族だと、その保険料を納められるだけの余裕があるのなら、その分を本人に現物支給し、生活費の足しにしてもらうようにと指示されます。
そして、その額を扶助費から差し引くという事になるのです。

中には、自分の経済状況は分かっても、身内の事までは分からないでしょうと高を括っておられる方も少なくないようですが、実は先の受給調査においては、金融機関の他、戸籍を調べ、そこから明らかになった血縁関係のうち、直結している人物については、その現状も調査する事とされています。

そして、少しでも余裕があれば、援助するようにと促す事になっていますから、申請者を被保険者とする掛け金が高額の保険があると、やはり不味いでしょう。
ですので、万が一の時のために、自分たちが後始末ができるだけのものをという事ですと言える程度の規模のものにしておく事が大切です。

離婚した夫からの慰謝料も収入として見なされる

更に、離婚した夫からの慰謝料も収入と見なされ、保護費が差し引かれる事になっています。
そこで、取り敢えずは即金で受け取らず、子供を被保険者とする元夫名義の学資保険などで受け取るのも一つの手です。

けれど、この場合でも、受取人が自分や子供なら、将来、お祝い金が支払われた時に、それまでの保護費を返済する事が求められ、さらに、残金があれば、やはり一時的にでも支給が止められます。
ですので、受取人も旦那名義か、自分の親兄弟の名義にしておいてもらう事が大事でしょう。

されど、理屈は理解し、納得できても、特に母子家庭になってしまった以上、やはり子供のために、少しでも自分に万が一の事があった場合には遺産を残してやりたいとか、倒れた時に苦労させない程度のサポートは欲しいと思われるものだろうと思います。

取り分け、前夫が酷い男で、慰謝料ももらえないまま離婚したり、未婚の母として子育てしておられる方などは、多少なりともお持ちの願望ですね。

そこで、役所もそこまで鬼ではありません。
例えば、月額数千円ほどの定期保険なら、掛け捨てですが、何とか家計を切り詰めて支払える金額であるという事で、加入や継続を認めてくれる事も珍しくはないのです。

社会復帰の見込みがある場合

病気や怪我の療養のため、一時的に生活保護を受け、必ず社会復帰する強い意志と見込みのある方なら、受給終了後は医療扶助や葬祭扶助が受けられなくなります。

そうなると、再び生命保険が必要になる訳ですが、一度大病をしてしまうと、新規契約するにもできない!

そのため、無条件引き受け型を選ぶにしても、年齢のリスクも手伝って、高額の保険料を納めなければならなくなる可能性は高いという事で、その間だけ、親族に一時的に払い込みを継続してもらう事もできなくはありません。

しかし、いずれにせよ、福祉事務所との要相談で、下手に隠さず、しっかりと事情を説明し、担当のケースワーカーと一緒に対策を練る事が肝心です。

自分で勝手に動いて保険加入などをし、ばれると驚くほど厄介な事になります。
保護が打ち切りになるだけではなく、これまでの受給額の返金を求められる事も珍しくありませんので、十分心して、くだらないもくろみはしないようにしましょう。

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