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生命保険を使った生前贈与プランとは、相続税を上げる代わりに、贈与税を下げ、何とか裕福なお年寄りたちのお金を勢いある若者たちに遣ってもらおうという事で改正された新税法ですが、それでも実際には、誰でもがその恩恵を被れる訳ではありません。

確かに、20歳から50歳までの人が、親や祖父母から1,000万円までのお金をもらっても非課税にはなるものの、それはあくまでも結婚や出産、そして子育てに充てるための資金で、それらを無用とする世代、あるいは、未成年には何のメリットもない上、よくよく見ると、引き下げられたと謳われている贈与税率ですが、高額になると、なんと、5パーセントもアップしているではありませんか!?
そう、現実には、相続税も上がり、贈与税も上がりという部分もあるのです。

1年間の総額が110万円未満であれば非課税に

しかし、その一方で、1年間の総額が110万円未満であれば、非課税としましょうというサービスも完備されました。
そのため、取り敢えずは毎年、子や孫たちに110万円ずつ譲渡しておけば、例えば、我が子と孫合わせて6人いれば、年間で660万円!
10年で6,600万円の現金を将来遺産となるべく財産の中から減らせる訳で、節税効果は覿面でしょう。

されど、それだけの大金が毎年もらえるとなると、若者でなくても、金銭感覚は麻痺します。
特にお孫さんの場合、ろくな大人にならないのではないかという危惧が働くとおっしゃる方は少なくありません。

そこでお勧めしたいのが、生命保険を使った生前贈与プランです。
こちらは、その名の通り、自らの持つ資産で生保の掛け金を支払い、自分が死んだ後、保険金として孫子に大金を渡せるという作戦!

一見、近頃噂になっている生命保険を活用した相続税対策と同じように見えますが、あくまでも生きている間にお金を渡すという形で、何よりも保険の契約形態そのものが大きく異なります。

遺産相続における生命保険控除枠

まず最初に、最もオーソドックスな税対策と言われるのは、別途法定相続人の数×500万円までの非課税枠が設けられている遺産相続における生命保険控除枠を使う方法ですが、これだと、実子には良くても、免税対象から外される児孫には何もよろしくありません。

結果、先のご家族のように、長男と長女にそれぞれ2人ずつ子供がいるケースですと、娘と息子の分プラス妻の分で、3人分の1,500万円分までしか節税できないのです。

無論、それでも、十分メリットはあるものと思われますから、取り敢えず、妻子の分は、死亡保険金1,500万円の一括払い終身保険にしておかれるといいでしょう。

契約者や被保険者はどうする?

この場合の契約形態は、契約者も、被保険者も、受取人も本人に統一しておくのがポイント!
あるいは、受取人のみを妻子でも構いませんが、令孫にすると贈与税が掛かりますので、絶対にNGです。
という事で、孫の分や残りのお金は生前贈与プランの保険加入にします。

ただし、今度は、契約者や受取人が自分自身ではいけません。
最も適当なのは、契約者と受取人が同一人物で、そこをお孫さん、あるいは、息子さんや娘さん名義とし、被保険者を私とした形です。

こうなると、受取人は、自分で払った保険料を保険金で受け取る事になりますから、一時所得となり、相続税も贈与税も課せられません。

実際には、所得税の課税対象になってしまいますが、それでも、死亡補償金の中から、今までに払い込んだ分を差し引き、さらに、プラス50万円の控除があるため、よほど好条件の商品でない限り、他に雑所得がなければという条件付きではありますが、それほど多額の税金を徴収される心配はないでしょう。

正当な贈与であることを証明する

ただ、この対策には、いくつかの注意点があって、とにかく年間で110万円という事は、月額9万円以上の超高額な生保ですから、学生はもちろん、サラリーマンやOLが容易に支払える金額ではありません。

しかし、裕福な良心や祖父母が、子孫のためにできる事はして上げたいというのは当たり前であって、暦年100万円までの贈与は控除される事と法律で定められているのです。

何も隠す必要などなく、むしろ、娘や息子たちが雑所得として高い所得税を取られないようにするためにも、自分たちが出している事を明らかにしておく事は重要です。

ですので、年に一度まとめて子供や孫たちの口座に振り込みし、その口座から引き落としという形で保険料を支払えるようにします。

そして、その入金の際、通帳記入と同時に、都度、贈与契約書を一人一人に作成し、コピーしてお互いが1通ずつ保管しておく事!
これで、正当な贈与であるという事が証明できるという訳ですね。

通帳や印鑑管理の注意点

加えて、その通帳を自分たちが所持したり、管理するのは絶対にいけません。
そんな事をすれば、単に孫子の名前を借りているだけで、そこに入っているのは両親やおじいちゃん・おばあちゃんちの資産であると判断されます。

節税どころか、下手をすれば、雑税だとも言われかねませんので、必ず全く異なる印鑑を遣った通帳を作り、子供たちの家庭で管理させるようにしましょう。

また、毎年同じ月に同じ金額を振り込むと、定期贈与と見なされ、その総額に課税されてしまいます。

つまり、10年間で110万円ずつ、1,100万円受け取れば、そこに税金が掛かって来るという訳です。
ですので、絶対に几帳面に毎年同じ月に年間保険料分を全納せず、適当に分割し、且つ、ランダムに入金するのがコツです。

尚、先の生保を使った相続税対策の場合ですと、被保険者が高齢である事や健康面のリスクを考えると、新規契約ができない可能性も大いにあるかと思われますが、後の生前贈与対策だと、そういう時には、被保険者を契約者と同一人にした養老保険や学資保険にすればいいのです。

そうすれば、満期時には、年金や教育資金として受け取れますし、万が一、それまでにスポンサーが高いし、払い込みが困難になっても、解約する事により、解約返戻金として手にできます。

実際問題、保険金のように高利回りとはいかずとも、税金に持って行かれないのですから、決して損な話ではないでしょう。

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