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皆さんは、生命保険が約束してくれているのは「保障」であって、損害保険が約束してくれるのは「補償」であるという事をご存じでしょうか?

もし、えっ?っと思われたら、お宅に保管しておられる保険約款などを確認してみて下さい。
思わず、へぇえ!の泉が湧いて来るはずですよ。

ではでは、この2つの「ほしょう」は、一体全体、どこがどう違うのか?
それが分かれば、自ずと生命保険と損害保険の賢い使い分け術というのも分かって来る事でしょう。

保障と補償の違い

という事で、まずは生保と損保の違いは何かという話からですが、それ以前に、驚くほど多種多様の保険が存在する日本ですが、実際には、第1分野から第3分野までの3分野しかないという事を知っておかれると、一気に分かりやすくなるだろうと思います。

そして、生命保険は第1分野、損害保険は第2分野に分類され、それぞれ、生保は生命保険会社が、損保は損害保険会社が取り扱う事になっているのです。
そのため、両方を一緒に販売する資格を持つ会社はありません。

ただし、1996年の保険業法改定により、相互参入は認められていますから、生命保険会社が損害保険を取り扱う専業の子会社を設立し、損保を販売する事は可能になりました。
そして、その逆でも全然OK!

実際、大手損害保険会社が、中小の生保会社を傘下に入れるという形で誕生したのが損保系生命保険会社で、「損保ジャパン日本興亜ひまわり生命」や「東京海上日動あんしん生命」、あるいは「三井住友海上あいおい生命」など、ひらがな交じりのところが多いところから、通称“ひらがな生保”と呼ばれています。

生保系損保会社の存在

しかし、その割には、生保系損害保険会社というのを見掛けない!
この記事を読んで下さっている賢い皆さん方ならきっと、ふと、こんな気付きを持たれた事でしょう。
そうなんです、法律上は立派に認められているのにも関わらず、なぜか我が国には、生保系損保会社というのがほとんどないのです。

法改正直後は、双方が同じように、異分野への参戦を試み、むしろ、資本も信用も充実していた国内系大手の老舗生命保険会社の方が、事を優位に勧めていたと見て間違いないでしょう。

そうやって誕生したのが、「ニッセイ損害保険」や「第一ライフ損害保険」、あるいは「スミセイ損害保険」などなど、いずれも、どこが親会社となっていたのかは一目瞭然という蒼々たる顔ぶれでしたが、現在まで頑張って生き残っているのは、「明治安田損保」だけとなっていて、こちらも、法人向け商品のみで営業しています。

人と物に対しての価値を考える

という事で、どうやら、損保会社の方が生保会社を上手に兼営して行く能力には長けているようなのですが、どうしてここまで明暗がくっきり分かれてしまったのでしょうか?

その最大の理由は、長年保障を任務として来た会社と、補償を任務として来た会社との違いにあるものと見て良さそうです。

そもそも損保の約束する補償というのは、与えた損害を補うもので、事故で車が壊れたから、修理費用を助けてあげましょうとか、家事で家が焼失したから、移転費用を面倒見てあげましょうというもの!

それに対し、生保会社の約束する保障は、それが守られるように手段を講じる事ですから、一家の大黒柱が他界した後、遺族が困らないように多額の保険金をお支払いしてあげましょうというものですね。

そのため、よく、1分野は人を、2分野は物を守るものだなどと言われ、実際には、特に後者については、その限りではありませんが、こうした要素は間違いなくあり、最も分かりやすい説明であると言っても過言ではないでしょう。

しかし、そうなると、人に対して価値を付けるのと、物に対して価値を付けるのとでは、難易度が余りにも違い過ぎます。

例えば、100万円で買った車が破損し、再起不能になれば、実損害は100万円ですが、60歳の男性1人が死亡しても、その人の収入や家族構成などにより、どのくらいあれば家族が最低限の生活を続けて行けるのかは定かではありません。

定額払いと実損払い

そこで、ならば最初から、これだけの保険料を払ってくれれば、死亡時にはこれだけのお金を出しましょうという、いわゆる保障を定めたスタイルの保険を「定額払い保険」と呼び、生保会社が取り扱う終身死亡保険や医療保険の大半は、これに該当します。

一方、事故や自然災害などによる物的被害は、ある程度算出する事が可能で、実際、テレビや新聞などでもよく、その推定金額が弾き出されていますね。

そこで、これだけの保険料を納めておいてさえくれれば、その実際に損害を受けた分に応じた補償はしますというのが損害保険会社の取り扱う自動車保険や火災保険などで、このようなスタイルを「実損払い」と言い、加入者は、得をする事もない代わりに、損をする事もありません。

だからこそ、保険会社と顧客のリスクはフィフティー・フィフティーであり、比較的安価な掛け金で、時と場合によっては、高額の補償金を手に出来る訳です。

ですが、この実損払いとなると、保険会社側は徹底的に調べ、無駄なく、且つ、漏れなく適切な補償金を提示しなければ納得されないでしょう。

そこで、損保事業の運営には、その調査のための事業所や人員を全国に配置する事が必要不可欠となり、思いのほかコストが掛かります。

損保ならではの強みを生かす

加えて、損保商品の多くは、1年ないし2年ごとに更新となり、顧客一人一人に対して、抜け目なくその手続きをする事も必須になる訳ですが、逆にそれに慣れている元々の損保出身の面々にとっては、それは新たに取引先に生保を進めるチャンスだという訳です。

さらに、新規契約の取り付けという面では、自動車屋やガソリンスタンドなど、幅広い人たちが気軽に出入りするスポットが代理店であるという損保ならではの強みも手伝います。

ところが、こうした場所や人手が乏しい生保会社が、それを必要とする損保会社を兼業するというのは、実に大変な事だったのです。
結果、このような明暗が分かれてしまったという訳ですね。

医療・介護・傷害保険

さて、話が随分横道に逸れましたが、そのお陰で、生命保険と損害保険、さらには、生保会社と損保会社の違いはバッチリ理解して頂けた事でしょう。

でも、ここで一つ思い出して頂きたいのは、日本の保険には、3つの分野があって、第1が生保、第2が損保でしたが、第3分野は何か?

そう、まだ、それをご紹介していなかったのです。
ですので、これより先は、しばし、そのご説明をしたいと思います。

まず、第3分野に当てはまるのは、医療保険や介護保険、あるいは傷害保険と呼ばれるもので、一見、先の2つのどちらにもありそうな商品ばかりです。

事実、この分野については、生保会社でも、損保会社でも取り扱える事になっていて、形態としても、定額払いもあれば、実損払いもあります。

ただ、大きな特徴として、所定の病気や怪我で入院したり、死亡したりした時でないと給付金や保険金が受け取れないという事があり、また、生保会社と損保会社、それぞれがそれぞれの特性を生かした商品を多く販売しているという事が上げられるでしょう。

万が一に備える実損補填型

すなわち、生命保険会社の出すものには、入院日額いくらという形で、実費がどれだけ掛かろうが、掛かるまいが、給付額は一律です。

そのため、軽傷なら儲かる事は珍しくありません。
故に、重傷なら、足が出て、それだけでは足りないというリスクもあるものと見られます。

それに対し、損保会社の出すものは、上限範囲内で、掛かった分だけはきちんと補填してくれますから、得はしなくても、損はしないでしょう。

このような方式を「実損補填型」と言い、取り敢えず万が一の時に備えるという意味では、掛け金の安さから考えても、決して悪くはないものです。

終身保険の特約として同じ生保の医療保険を付帯させる

当然ですが、誰だって、もらえるお金は1円でも多い方が嬉しい訳で、常に十分な保障が得たい方にとっては、生保系の医療保険の方がメリットは大きいかも知れません。

しかし、その代わりに、全体的に保険料が高額で、それでも、時と場合によっては、足らずが生じる事もあるのです。
とは言っても、終身タイプで、一生面倒見てもらえるものも多いですから、経済的な余裕さえあれば、入っておけば安心である事は間違いないでしょう。

その点、損保系の医療保険は、その特性上、徹底的に調べ、治療に必要と見なせば、かなり手厚いサポートをしてくれる事も珍しくはなく、実際、内容的には優れていると見られる部分も覆おうにして感じられます。
正に堅実性が高いと言えそうです。

されど、ほとんどが掛け捨ての定期型で、一定期間ごとに更新があり、その際、加齢に伴い、保険料が値上がりする事も一般的で、この部分が最大のデメリットだろうと思われます。

という事で、本当にどちらがいいかは、人それぞれ、考え方やライフスタイルによって異なって来ます。

ですので、ここで最も大切になるのは、必ずしも終身保険の特約として、同じ生保会社の医療保障を付帯させるだけが安心を安定させる手段ではないという事なのです。

時に損保会社の医療保険や傷害保険も上手に組み込み、少しでもお得に、充実したサポートが得られるようにする方法もあるという事を是非知っておきましょう。

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