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学資保険vs定期預金

時より、「学資保険」と「子供保険」の違いがよく分からないとおっしゃる方もおられるようですが、それもそのはずで、多くの会社では、ついでに「こども保険」や「子ども保険」なども含めて、同一商品に対する通称としているところが多いようです。

しかし、厳密に言えば、子供保険というのは、死亡保障や医療保障をセットにした、いわゆる成人向け生命保険のジュニア版とでも言ったところでしょうか。
至ってシンプルなもので、共済では、その辺りはしっかりと区分しています。

目的は積立貯蓄

というのも、そもそも学資保険というのは、子供の教育費を貯める事を目的とした積立貯蓄であって、生保とは一線を引くものがあるからです。

実際問題、学資保険は、被保険者が怪我や病気で入院したからと言って、給付金が支払われるものでもなければ、万が一死亡した場合に多額の保険金が下りるというものでもありません。

それどころか、どちらかと言うと、金融機関の定期預貯金に近い形態であると言っても過言ではないでしょう。
要するに、赤ちゃんが生まれてすぐ、満18歳で保険期間終了となる商品に加入し、月々の保険料を1万円と設定すると、年に12万円、18年間で216万円貯まる訳です。

これに例えば、利息が付いて、満期金237万6,000円になれば、21万6,000円も増えた事になり、それを大学進学の際の入学金などに充てられるという仕組ですね。

返戻率が110%~120%と高い

でも、学資保険に入っていたお陰で、娘が盲腸で入院した時に給付金を受け取れたとか、息子が喧嘩して相手に怪我をさせた際、慰謝料を賄ってもらえたという経験をお持ちの方は少なくなく、ただの積立とは違うと思っておられる方が圧倒的多数のように感じられます。

しかし、それは、そうしたそれこそ、正真正銘の子供保険に該当する特約を付帯させておられるからに他ならず、その分、高価な保険料を支払っておられる事でしょう。
ただ、大人の生保と同じように、どうしても一括りで見てしまうため、それも含めて学資保険というイメージが強くなってしまっておられるものと思われますね。

だったら、何もわざわざ保険にしなくても、銀行や郵便局で定期預金や定期貯金にする形でもいいんじゃないの!?
という話になり、事実、このどちらを選ぶかで悩まれる方も大勢いらっしゃいます。

ですが、まず返戻率面だけを比較すると、明らかに学資保険の方が優位で、先の例の商品ですと、110パーセント!
昔は返戻率120パーセント前後のプランがゴロゴロしていましたから、これでも下がったとは言え、預貯金では中々実現困難な好条件です。

ちなみに、年利0.5パーセントの利息計算12ヶ月複利型という現在市販されている定期預金の中でも最も美味しいと言われる商品で、同じように月々1万円ずつ、年間に12万円、18年間で216万円を積み立てた場合の総額は225万9,726円となり、11万6,274円も少ないのです。

おまけに、定期預貯金の利息には、15.315パーセントの所得税・復興特別所得税と、5パーセントの地方税を合計した20.315パーセントの税金が、予め差し引かれた状態で加算される事とされています。

ですので、このケースにおいては、一応99,726円の利子が付く計算にはなるのですが、現実に付加されるのは79,481円で、受け取れる金額は 2,239,481円と、更に減額されてしまうのです。

それに対し、学資保険の満期金やお祝い金は、契約者と受取人が同一人でありさえすれば、一時所得扱いになりますから、一見、全体が課税対象となり、思わずぞっとするものの、よくよく調べて見ると、それまでの払込総額は必要経費だったものとされ、利益とは見なされません。

加えて、プラス50万円までの控除枠が設けられているため、今回のように、237万6,000円受け取っても、そのうちの216万円を差し引いた21万6,000円は満額非課税となるんですね。

当然ですが、これには、他に雑書特がなければというような条件が付いているものの、仮に受取額が50万円を上回っても、それを2分の1にした金額のみが課税対象となり、利息全額に目を付けられる定期預金とは随分差が出る事でしょう。

また、年末調整や確定申告で出す保険料控除の申請、これの一般生命保険枠にも該当しますので、税金対策としての価値は十二分にあると言えそうです。
ただし、契約者と受取人が異なる場合には、贈与税の対象となり、110万円を超える部分には税金が掛かりますから、この辺りも考えて加入される事をおすすめします。

契約者が払い込み困難になった場合はどうなる!?

しかし、流石は生保という最大の違いは、契約者である両親や祖父母が他界したり、高度障害を負って払い込みが困難になった場合、その後の保険料の支払い義務は免除され、未納状態で満了を迎えても、契約通りの満期金やお祝い金が受け取れるという事でしょう。
そう、無理に解約する必要がないのです。

このメリットは実に大きく、自分に何があっても、子供に大学進学を諦めさせるような事はしたくないと思われるのであれば、是非とも加入しておきたいところですね。

されど、元気にピンピンしている状態で失業などをし、払い込みが厳しくなった場合は、話が全く違って来ます。
そこは貯蓄型保険ならではのデメリットが一気に表に出て来る事となり、中途解約すれば、元本割れしてしまう確率が低くない事は覚悟しておかなければなりません。

これは、学資保険よりも高利率で、昨今では、こっちの方が利口なのではないかと言われている低解約金型終身保険にもあてはまります。

それどころか、こちらは元々払い込み期間満了まで入金するからこそ、安価な掛け金で、高額の死亡保障や解約返戻金を出しましょうという商品なのですから、そのリスクがより一層高い事は、致し方のない事として理解し、契約する事は絶対条件です。

得をすることがあっても損をすることがない預貯金

その点、預貯金は、いつ解約しても、元本割れする心配はなく、その時点までの利息が付帯した状態で返って来ますから、わずかでも得をする事はあっても、損をする事はないと見ていいでしょう。
あるいは、月額を減額して継続する事や一部必要な分だけ引き出し、残りを再び定期として預け入れする事も容易です。

それに対し、学資保険にしてしまうと、まず、そうした月額を抑える事は見直しとなり、契約者の健康状態や収入状態によっては、難しくなる事も大いに考えられます。

また、契約者貸付制度を使って一部を借りる事は簡単ですが、それには年利複利の利息が付くため、返済が長期に渡ると完済が出来なくなり、結果的に潰して大幅に損をするという道を選択せざるを得ない事も出て来そうです。

定期と学資をセットで考える

こうした事を踏まえ、オギャーっと生まれた赤ん坊がほぼ大人になるまでという実に長い年月を考えると、どちらも一長一短という感じですが、今最も人気のこの手の保険商品と言えるソニー生命の「学資保険スクエア」は、保険期間や満期額の設定をかなり幅広く、柔軟性を持って考えられます。

つまり、短期間で少額を貯める事もでき、お祝い金を受け取るごとに都度、それを定期預金に移し替える事もできるという事です。
ですので、学資vs定期という感じで、対抗して見るのではなく、学資&定期という風に一緒に考え、双方を上手に組み合わせた設計をするというのも一つの賢い作戦ではないでしょうか。

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