記事の詳細

相続税の基礎控除額が大幅に下がり、いかにして節税するかが真剣に考えられるようになった今、注目を集めているのが生命保険です。
確かに、元々別枠で計算される生保の死亡保障、これを上手に活用できれば、納税義務が消滅する事もあるというのですから見逃せません。

加えて、相続税を減らすには、何と言っても遺産を極力減らしておくに限るでしょう。

そこで、生前に子供や孫たちに少しずつお金を私、それで保険を掛けさせておくという手に打って出る人もいます。
その方法は次の通り。

例えば、自分には3人の息子がいて、それぞれが結婚し、長男夫婦と次男夫婦には2人ずつの娘と息子が、さらに三男夫婦にも一人娘がいるとしましょう。

この場合、毎年110万円ずつを3人の子供と、そのまた子供、即ち、孫たち5人の計8名に手渡します。
そして、彼らに、親や祖父となる自分を被保険者とした年払い終身保険を契約させるのです。
このときの契約者は、子供や孫たち自身、受取人も孫子自身です。

そうする事により、自らが死亡して、その保険金が下りても、それは契約者自身が自分で払ったお金で受けとる給付金という事で、相続した事にはなりません。
よって、相続税の課税対象ではなくなり、所得税のターゲットとなります。

非課税となるケースが多い!年間110万円までなら贈与税がかからない

ただ、先にも書いた通り、自分で払ったお金が返って来た部分が大半ですから、それは収入ではありませんね。
という事で、これまでに払い込んだ保険料は全額差し引かれ、さらにそこから50万円の控除額をマイナスした残りの額の半分だけを見て弾き出されるのが所得税法上の保険金の扱いです。

よって、非課税となるケースは決して珍しくなく、例え課税されても、その額はたかが知れています。
だからこそ、この形態の保険利用が生きて来るという訳ですね。

では、何故110万円なのかと言うと、それ以上になると、今度は孫子に贈与税が課せられるからです。
それでも、1年間の総額は880万円となり、5年間で4,400万円もの遺産となるべく預貯金を減らす事が出来、10年計画なら8,800万円!

当然ですが、保険というのは、加齢により、健康状態が悪化すると加入が困難になったり、保険料がアップしますから、そのリスクを軽減する意味でも、早期に長期計画でこの手に打って出る事は有効的だと言えます。

生保に加入するメリットとは?

それなら別に、何もわざわざ生保に入らなくてもいいんじゃないのかと思われるカモ知れませんが、そこが相続税対策!
ここでは、やはり父親やおじいちゃんが亡くなって手にできる大金に対して課税されないような作戦を採る事に意味がある訳で、加えて、貯蓄性の高い終身型保険においては、当然ですが、死亡による保険金は、払い込み金額を大幅に上回ります。
即ち、さらに価値を増すという訳です。

ところが昨今、この作戦が普及してきたがために、新たな問題が発生するお宅が急増しています。
それは、被保険者である親や祖父母より、契約者である子供や孫が先に他界し、被保険者生存の契約者死亡という状況に陥った場合です。

となると、被保険者が生きている訳ですから、それに対する死亡保険金は下りません。
これは、誰が考えても容易に分かる事でしょう。

という事で、ならば、どうなる、この保険!?
という事で、正直困ってしまわれるご家庭もでてくる訳ですね。

死亡者の見なし財産となるケース

しかし、保険というのは、いかなる場合も、その権利は契約者にあり、被保険者は単に保険会社が給付金を支払う際のターゲットに過ぎません。
ようするに、自分の生死によってお金が動くとは言え、この場合ですと、生きている父親や祖父には何の権利もない訳で、あくまでもそれは、死亡した息子や孫の遺産という事になってしまうのです。

ましてや、受取人が契約者本人であれば尚更の事、通常の契約者も同じなら、被保険者も受取人も同一人物である契約となんら変わらず、こちらは死者の見なし財産という扱いになります。

よって、遺族が解約して、その返戻金を遺産分配する権利を与えられますが、その代わりに、相続税の課税対象となります。
基本的に生保というのは、契約者以外の人物が勝手に名義変更できない仕組みですから、こういう形になってしまうという訳です。

ただし、相続人の一人が、一旦これを相続したとなると、その後はその相続者に全権利が移行されます。
そこで、名義変更も自由にできますから、契約者変更の手続きをし、自らが契約者となって払い込みを続ける事により、存続及び継続は可能です。

しかし、そこには身内同士の話し合いが必須になってくるでしょう。

という事で、死後の事まであれこれ悩みたくはないものですが、安心してあの世で暮らすためには、生前にこうした先の先まで見据えた話し合いを、子供や孫たちとしっかりしておく事が大切になるのではないかと思います。

関連記事

コメントは利用できません。

お問い合わせ

当サイトへのお問い合わせは
こちらからお願いいたします。

ブログ

ページ上部へ戻る