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何個もの生命保険に入っているなんていうのは、何だか怪しい!
そんな風に思われるかも知れませんが、それはちょっと推理小説の読み過ぎかも知れません。

何しろ、我が国の生命保険の加入率は、既婚者のご家庭ともなると90パーセントを超え、しかも、その平均契約件数は4.1件と言われています。
つまり、1世帯当たり、4個もの保険を掛けているという事なのです。

しかし、これはよくよく考えてみると、それほど驚くような数字ではありません。
何故なら、夫婦が1つずつ加入し、さらに、2人の子供に対して個別に学資保険を用意しているとすれば、それで簡単に達する数だからです。
また、死亡保障と医療保障、それぞれ別個に入っていれば、それだけで2つとなり、妻と夫の分だけでもこのくらいには容易になってしまいます。

複数社と契約するのも珍しくない!?

特に昨今は、昔のように、主契約に特約という形で医療のサポートを付けるというよりは、全く別に医療保険やがん保険、あるいは、収入保障保険や個人年金保険と言った形で加入される方が増えています。
そうなると、中には、複数の商品どころか、複数の会社と契約している方も珍しくはなく、実際、その方が、税金面でお得になったりもするでしょう。

というのも、税制法の改正により、年末調整や確定申告で行う生命保険料控除の枠が、従来の一般生命保険と個人年金保険の2区分方式から、これに介護・医療保険枠を加えた3区分方式に変わりました。

そうなると、死亡保障をメインとした終身保険や定期保険、それに子供の学資保険などは一般で申請し、入院保障やがん保険などは介護・医療保険部門で申請すれば、これまではトータルで上限5万円までだったのが、それぞれ4万円まで、総額8万円の控除枠がフル活用できる事となります。
すなわち、一体化させるより、分散化させる方がメリットが大きいという訳ですね。

ちなみに、生命保険は何個までしか加入できないとか、死亡保障はいくらまでしか入れないという規制は、法律上は一切ありません。
極端な話、10億円のプランを組もうが、5つ・6つの商品に入ろうが、違法ではないという事なのです。

実際問題、後者のような事は、先述の通り、必要に応じた保険を選択して契約する事により、十二分に有り得る事です。
ただ、前者の方についてはどうでしょうか?

保障の内容よりも支払いができるかどうかを見極める

そもそも生命保険というのは、事前に払い込んだお金が、いざという時に保険金や入院給付金と言った形に変身するものです。
当然の事ながら、高額の生命保険金や給付金を受け取るには、多額の保険料を納めなければなりません。
そう、いくらの保障が欲しいかという事はもちろん、とても大切な事ではあるのですが、それ以上に、まずは、その支払いができるかどうかが問題になって来ます。

そのことは、被保険者に価値を付ける生保においては、結果的には限度額を決める大きな目安となると言っても過言ではないでしょう。
すなわち、その人が亡くなる事により、いかほどの損益を遺族や会社が被るのかから考えるより、適正額が定めやすいという訳です。
例えば、仮に5億円と算出されるのであれば、現時点で、それに見合うだけの収入や能力があって、高額の保険料でも十分支払えるという見解が成り立つんでしょうね。

という事で、多くの保険会社では、死亡保障額の限度を3億円程度に定めていて、しかも、個人の場合は、年収の5倍くらいまでを上限に設定しています。
となると、年収500万の人出あれば、せいぜい7,500万円までしかプランニングできないという事になるようです。

ただし、先にもご説明した通り、これはあくまでも1社における話であって、複数の生保会社と契約する事は自由ですから、1億円以上欲しければ、2社で加入すればいいだけの話です。

そこで、多額の保険金受取りを前提に、何個もの保険契約する人がいるという事になるのでしょうけれど、果たして、それで本当に大金を手にする事ができるのでしょうか?

既存の契約にについての申告が必要

単純に考えて、仮にどこの生保会社でも、3,000万円が限度と言われたとします。
されど、10社で加入すれば、3億円の保険金が受け取り可能となり、法律上は、それを認められる事はないはずです。

しかし、実は生命保険の告知義務の中には、健康状態や就労状況だけでなく、既存の保険契約についても明確にしなければならない事とされていて、すでに他社で死亡保険や医療保険等に加入していれば、それを申告しなければなりません。

だからと言って、それによって審査が不利になるという事はめったにありませんが、何かあって保険金や給付金を請求した際、その病気や怪我、あるいは死因に疑わしいところがあれば、各社で協力し合い、調査する事になります。
そして、事と次第によっては、全社で支払わないとか、減額するといったような結論が出される事も珍しくないのです。

しかし、それを知ってか知らずかは定かではありませんが、大半の方は、既存の生保の事は告知せず加入されます。
何故なら、自分から言わない限り、追求される事などほとんどなく、それで十二分に商談成立する部分が往々にしてあるからです。

ただ、こうして無事に複数の会社と取引できても、彼らは必ず、100万円以上のお金を支払った際には、税務署にその旨の報告をしますし、死亡保険金については、それらが全て明らかにならない限り、遺産相続の手続きが進行しません。
ですので、この時にバレる事となり、告知義務違反となれば、当然、支払いは中止となるでしょう。

受取人を分散する!?

ならば、受取人を妻や子供、そして、両親から祖父母、挙げ句の果てには叔父・叔母まで引きずり出して、それこそ一族で分散されるような形で何個もの生保に加入したとしたらどうでしょうか?

特に死亡保証金の請求権は受取人にありますから、申請者が異なれば、会社が違えば、より一層の事、分かりにくいと見られます。
そうはいっても、それでもやっぱり同じように、相続税の計算の際に判明してしまう事は目に見えていると言えそうです。
何故なら、生命保険の受取人というのは、基本的に3親等までしかなれず、彼らは法定相続人でもあるからなんですねぇ!!

という事で、何個もの生命保険に入るのはありか、なしか?
と言われれば、決して特別な事ではなく、ないとは言えませんが、時と場合によっては、犯罪者呼ばわりされる事もあるという事を知っておかなければなりません。
また、善良なる市民が、高額保障の商品に多数契約する事は、少々無理があるものとも考えられます。

さらに、すでに主契約の終身保険にがん保険や収入保障などが特約として付帯しているのに気が付かず、別の会社でわざわざ似たような商品に入っておられる方も結構いらっしゃいますので、今一度見直しし、高い割には中身の雑な特約の方を外す事を考えられるのも、節約のためには必要ではないでしょうか。

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