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なぜ保険料は値上がるのでしょうか。
損害保険の中でも、自動車保険は相互扶助で成り立ってるとよく言われます。
保険金を受け取るために、保険料を納めるものだ、そういった考えを持つのは当然です。
しかし、これは、医療保険も生命保険も値上がりをしている事を見れば、あるいは値上がり率よりも値下がり率が常に低いのは、ちゃんとした理由があります。

事業体の収益は必ず上昇することを前提とされている

どの会社だって、収益が悪化すれば業績不振でリストラや債務整理で事業を縮小するでしょう。
しかし、保険はその傾向がありません。
資本が大きいのも有りますが、社員数が多く、しかも商品を生産しているわけではありません。

交通事故が頻繁に起これば、保険金はその都度支払われます。
つまり、損保会社は顧客から商品を買ってもらって利潤を生み出す企業ではないのです。

今までは、その利益を生み出すには、「なるべく事故を起こさない契約者」を増やすことでした。
等級制度で、実際には長く更新で契約を続ければ、保険金充当割合は下がっていくのですが、元々の利潤と経費を含めた付加保険料は変わらないので、保険料は安くできたのです。

これは、自動車保険加入者が増えれば増えるほど、損保会社は儲かる仕組みになっています。
この利益を支えていたのが、平日はほとんど自動車を運転しない、自動車の「使用者」だったのです。

首都圏の多くの家庭では、通勤に公共交通を利用します。
車通勤が常態化する家庭は、余程の郊外や地方の企業に務めている場合でしょう。
ほとんど乗らない世帯主が自動車保険の契約者であり、被保険者なら、従来通り、損保会社は保険金を支払う割合は低いままだったのです。

高齢者ドライバーの増加による事故率アップ

ところが、現在は少子高齢化です。
現在の高齢者で60歳台の占める割はかなり高く、しかもそうした高齢者は、日中に自動車を運転しています。

現役バリバリだった頃は、自動車に乗る機会は週末だけだったかもしれません。
しかし足腰が弱くなり、年金受給者となった場合、日中自由に活動する高齢者は珍しいものではなくなりました。

加えて、少子化で若い人が景気の影響もあって車を所有しませんから、増々高齢者ドライバーは増えていきます。
若いころと違って、判断能力、反射神経は衰えていますが、自動車運転歴は長いので、自信もあり、その分事故も重過失になる事例が増えています。
本来は、年齢が高くなるに連れ、事故率は下がるはずですが、現在は真逆で事故による、損保会社の損害率の方が高くなってます。

等級は高く、保険料に占める保険金充当割合が低いのですから、当然、会社の本来の利益部分までも、保険金支払いに充てなくてはなりません。
保険料が安いということは、この保険金として使える部分が少ないということを意味します。

この損保会社の損害率を下げるため、損保会社は値上げに踏み切っているのです。
消費税が僅か3%の値上げでも、損保会社には保険料に充てるだけで良いので、実質上は値上げにはなりません。

しかし、本来年齢が上がれば、自然と交通事故は減るはずと算段していた時代は過ぎ、今の賠償責任は高齢者の割合が非常に高くなってきているということになってしまったのです。

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