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2011年3月11日に襲った東日本大震災、その死者は2015年3月時点で1万5,891人、負傷者は2万4,627人に上っています。
特に岩手県などは、人的被害者数の総数6,015名のうち、負傷したのは213名に対し、亡くなった方が4,673名で、未だ行方不明の1,129名を加えると、大半の方が死亡された事になります。

また、最も死傷者を多く出した宮城県では、死者9,539名、負傷者4,145名で、それに行方不明の1,249名を加えると、14,933名という恐ろしい人数に達する訳ですが、この時、被災地からは遠く離れたところでこの光景を見詰める人たちが考えたのが、生命保険会社の存続危機でした。

東日本大震災による生保会社の倒産危機

何とも気楽で且つ下世話な話で、被災地の方々やそのお身内からしてみれば、実に不謹慎な事でしょう。
思わず怒りが込み上げて来るかも知れません。

けれど、実はこれはとても大切な事で、今や全国民の8割以上が加入していると言われている生保!
当然みんな、いざという時に役立つようにと、必死に家計を切り詰め、高い掛け金を払っている訳です。
こうした大震災は、正にその力が発揮される時!
その効力がいかほどなのか、本当に信用できるのかを検証するには、良い機会だったと言えるのではないかと思います。

実際問題、今回のように、1万5,000人以上の方がなくなり、2万4,000人以上の方が怪我をされたとします。
もちろん、その全てがどこかしらの生保に加入しておられたとは限っていませんし、負傷しても、入院しなければならないほど大事に至らなかった方も大勢おられるでしょう。

しかし、中には複数の会社と契約しておられる方や長期入院を余儀なくされた方もおられると仮定し、1人当たり1,000万円の死亡保障と日額5,000円の入院給付金が支払われる商品に入っておられたとします。

すると、支払われるであろう保険金の総額は1万5,891人×1,000万円で158億9,100万円!
入院給付金は、1人が1週間病院に入ったとして、2万4,627人×5,000円×7日で8億6,194万5,000円!
総額167億5,294万5,000円という気の遠くなりそうな金額です。

いくら今や株式の法人に切り替えたような巨大老舗生命保険会社でも、流石にこれだけの出費があれば、倒産の危機も十分想定できるというものでしょう。

しかも、日本中に顧客を抱える生保会社としては、東北地方で救援活動や復興作業が進む裏側で、日々多くの方々が病気になり、怪我をし、他界されています。
そう、被災地だけをサポートすればいいというものではないのです。

免責の自由という特権

そこで、彼らには免責の自由という特権が与えられていて、自らが破綻の危機を招くような事態が予測される時には、支払いを拒否したり、減額する事が許されています。

でもって、そういう自体にはどのようなものが該当するかと言うと、まずは地震、そして海外では、戦争や紛争などもありますし、規模によっては、津波や火山の噴火、巨大台風の襲撃などの天災でも適応される事となっているのです。
嘘だと思ったら、お手持ちの保険の契約約款を確かめてみて下さい。

会社によって文面は異なりますが、大規模災害時の保険金や給付金は、削減されたり、支払われない事があるというような事項が明記されているはずです。

聞いてビックリという方は少なくないでしょう。
しかも、近頃は多くのプランに災害特約というものが付帯し、それこそこうした自然災害や事故で死亡した場合、保険金が増額されるという約束になっているのです。
それが、増えるどころか、減るとか、もらえないかも知れないなんて、そんな馬鹿な事があっていいのでしょうか?

けれど、これは保険会社を守るためには致し方のない苦肉の策とも言えるべきもので、一見冷たく見えますが、彼ら自身が倒産すれば、削減どころではありません。
被災地の方々は勿論、全く無関係のところでも被害者が続出します。
そこで、こうした免責事項が設けられているという訳です。

ソルベンシーマージン比率と責任準備金積立

ちなみに、この震災で大手13社が支払う保険金の総額は、約1900億円と言われています。
しかも今回に限っては、どこも災害特約分も含め、減額せずにきちんと支払うと表明しました。
果たして、そんな事が可能なのかと言うと、実は可能なのです。

もちろん保険会社に支払い能力がなければ不可能ですが、幸いにも、日本国内でしっかりと基盤を築いて営業している会社はどこも、ソルベンシーマージン比率が600以上あり、老舗になると1000という数字すら見られます。

この「ソルベンシーマージン比率」というのは、契約者を100とし、その中の何人までが今亡くなって保障できる財力があるのかを示す値!
そのため、100であれば100パーセントなのに対し、600とか、700とかというのですから、これは安泰と言っても過言ではないでしょう。

これでは、給付金を削減するだの、払わないだのと言える理由がありません。
どこもそれが分かっているからこそ、早期に全額支払う事を表明したものと思われます。

要するに、日本の生命保険会社は真面目で、苦しい苦しいと言いながらも、きちんと責任準備金積立をし、石橋を叩いて渡るような手堅いビジネスをしているという事なんですね。

ですから、今後新たに保険加入を考えられる方は、人気ランキングなどだけではなく、ソルベンシーマージン比率も参考にされるといいでしょう。
特に貯蓄も兼ねた終身型や学資保険、あるいは個人年金保険の場合は、取引している生保会社が破綻すれば、大きく損をする事が大いに考えられます。
けれど、この数字が高く、支払い能力の高い会社であれば、そのリスクは大幅に軽減され、安心して長期間の払い込みができるものと見ていいでしょう。

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