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生命保険の非課税枠を活用した相続対策

生命保険で相続税対策が出来るというのは、法定相続人1人当たり500万円までの非課税枠が設けられているからに他なりません。
すなわち、仮に5,000万円の死亡保証金が下りたとしても、妻と9人の子供がいれば課税対象額は実質上0円となる訳です。

とは言っても、昔は10人兄妹なんていうご家庭は珍しくなかったようですが、今やテレビで特集が組まれるような大家族でもない限り、5,000万円という高額の保険金を丸々非課税にするのは至難の業ですよね。
それでも、もしそのお金をそっくりそのまま銀行に預けておけば、それこそ全額が相続税の対象となってしまいます。
その点、例え法定相続人が妻と子供2人でも、生保として残せば1,500万円までは基礎控除が受けられますから、いくらかでも節税にはなるという訳ですね。

相続税や贈与税の控除枠

特に相続税や贈与税に関する法律が改正されて以降、この生命保険金の非課税枠が大きな注目を集めるようになりました。
なぜなら、それまではいくら現金で残しておいても5,000万円プラス、法定相続人1人当たり1,000万円までは税金が掛からなかったからです。

ところが、税制改正により今年からは、その基礎控除枠が3,000万円プラス、法定相続人1人当たり600万円までに縮小され、妻1人・子2人の遺族の場合だと、4,800万円までしか非課税になりません。
昨年までの8,000万円からみれば、なんと半分近くにまで引き下げられてしまったのです。

その代わりに、贈与税の控除枠を拡大したというのが政府の言い分ですが、それでも実際に恩恵を被れる条件がごくごく限られていて、多くのお宅ではそれをフル活用する事より、とにかく相続対策を念入りに練る事の方が得策となりました。
そうして目を付けられるようになったのが死亡保険金という訳です。

死亡保険金に着目

narrator

極端な話、妻と長男・長女を残して他界すると思われるのであれば、少なくとも1,500万円までは税金が掛からないのです。
ならば生前に自分で自分に終身保険を1,500万円分掛けておけば、それは死後に見なし財産となって家族の元に戻って来ます。
且つ、贈与税も相続税も掛からないという訳で、ああ、なんて素晴らしいんでしょう。

確かに、先のように、もともと全財産が5,000万円というのであればさほどでもありませんが、それ以外にさらに5,000万円という預金や不動産があったとすれば、その一部もしくは全部を生保にする事により、いくらかでも税金が軽減出来る事は間違いありません。
そこで、銀行などでもしきりと保険加入を勧めてくるのです。

ただ、この作戦を使うのであれば、受取人を自分か非課税対象者となる法定相続人にしておかなければ意味がなくなります。
なぜかというと、それ以外の人物が保険金を受け取ってしまうと、それは遺贈になってしまうからです。

特に生命保険というのは、契約者が自分の意思で受取人を選択出来ます。
親族でなければならないとはされていますが、その範囲は結構広く、妻子以外にも、可愛がってくれた兄や姉、あるいは可愛がっていた弟や妹に残して上げる事も出来るのです。
また、生保では保険会社の規約上難しいですが、預貯金や不動産なら、遺言書に書き残しておく事により、全く血縁関係のない赤の他人にでも財産を分与したり、時に全てを譲渡したりする事も出来るでしょう。

すると、言うまでもなく、こうしたケースにおいても相続税は課せられます。
よく、第三者が遺産を受け取ると、それは贈与されたのだから、贈与税になるのではないかとおっしゃる方がおられるのですが、とんでもない間違いです。
贈与税というのは、あくまでも生前贈与、すなわち生きている間に寄贈された金銭について課せられるものであって、なくなった後の遺贈は、常に相続税の対象です。
しかも、法定相続人以外の人物が受け取った生命保険金については税金が控除されるどころか、2割ばかり多く取られる事になるので要注意です。

さらに、生保の非課税枠を持つ人物は、同時にその他の遺産の基礎控除枠も持ち合わせている訳で、該当者以外に遺贈分が発生してしまうと、その両方で損してしまう事になってしまうのです。
しかし、国が認める法定相続人であれば、例え本人が相続放棄しても、非課税枠の対象者としての権利と効力は焼失しません。

要するに、3人兄弟のうち末っ子が遺産分与を辞退したとしても、この場合の死亡保証金やそのたの試算の基礎控除枠は、いずれも配偶者と子供3名の合計4人分で計算され、生保が500万円×4=2,000万円、それ以外の預貯金等が、3,000万円+600万円×4=5,400万円となる訳です。
ですので、こうした事もしっかりと考慮し、保険の受取人は自らか法定相続人にしておかれる事をお勧めします。

法定相続人とは

ここで素朴な疑問が湧いてきます。
法定相続人って、一体全体どこの誰なの?
そんな風に思われる方も、案外多い事でしょう。

そうなんですよね、実は先述のような生命保険を使った相続対策については、いつからでしょうか、恐らく法律が変わると発表された直後くらいから、あちらこちらで散々伝授されるようになりました。
ところが、どの説明においても、二言目には“法定相続人1人当たり”と言うだけで、その対象となるのがどこの誰なのかを、具体的に紹介してくれていないのです。

そのため、今更そんな事、人にも聞けず、わざわざ先にそれを調べないといけないという方もおられるのではないかと思いますので、軽く触れておくと、法定相続人というのは、民法で定められた亡くなった人の財産を相続する権利を持つ人全てを指し、その範囲は妻子から両親・祖父母・あるいは孫・曾孫、そして兄弟姉妹と、思いの他広かったりするのです。

ただし、いくら権利があるからと言って、実際に遺産がもらえるのかと言うと、これが実に微妙です。
そんな事をすると、本当にどこのお宅でも、課税対象額がなくなってしまい、国税庁は泣くに泣けなくなるでしょう。

相続人の中で優先順位を決める

narrator

そこで、相続税法において相続人の中から優先順位を決め、その第1位の人たちのみに非課税枠を与えてあげましょうとしています。
つまり第2位以下の人にも相続人としての権利はありますから遺産はもらえるのですが、それに対してはしっかり税金が課せられるという訳です。

ならば、優先順位第1位になれるのは誰かと言うと、とりあえず配偶者です。
夫もしくは妻と、他に子供と孫という、いわゆる直系卑属と呼ばれる地位の親族までとされています。

とは言っても、子がいなければ当然孫も曾孫もいませんから、その場合は直系尊属である両親もしくは祖父母が基礎控除枠をゲット出来る事とされていて、そうなると彼らが受け取った死亡保険金にも非課税枠が発生するのです。
ちなみに兄弟姉妹は、これら親も子も、じいさん・ばあさんもいない場合にのみ相続税法上の法定相続人としての権利が得られますが、1人でも該当者がいればNGという事で、意外と寂しい扱いを受ける立場なんですね。

また、孫や祖父母については、あくまでもその親や娘・息子がいなければ、代理で就任するという形で、このような形態を代襲相続と言います。
例えば、不幸にして次男が交通事故に遭い、すでに他界してしまっていた場合、あの世に遺産を送る訳には行きません。
そこで、その子供である孫娘に法定相続人の権利を振り返るというものです。
さらに、もしその孫娘も一緒に亡くなっていてその子に子供がいれば、その置き土産となる、いわゆる曾孫に権利は移行します。
これが再代襲相続です。

後継ぎが何人いても基礎控除枠は1つ

となると、次男に娘が3人いれば非課税枠は3倍に増えるのでは?
と、一瞬喜ばれるかも知れませんが、さすがにそうは問屋が卸しません。
あくまでも父親の代理人である以上、後継ぎが何人いようが基礎控除枠は1つのままで、その子たちが持つ生命保険の非課税額は500万円までなのです。

だったら、卑属となる子供が多ければいいんでしょう!?と考えられる方がいらっしゃいます。
事実、民法においては、養子はもちろん、先妻の子や愛人の子も被相続人の戸籍に認知していれば、法定相続人の権利はあるとされているのです。

ならば、それこそ最初にも書いた通り、生保から受け取れる保険金の額÷500万円で計算し、その数に見合うだけの子供の数になるよう養子を迎え入れれば、その他の遺産にも1人当たり600万円の基礎控除枠が出来ますから、それぞ最強の相続対策という事になりそうです。

しかし、やっぱりこれもお国がそうはさせず!
法律が認める法定相続人となれる養子は、実子が1人でもいれば1人で、子供が全くいないケースにおいても2人までと定められています。
よって、にわか仕込みで子供を増やすというのは、まず出来ないと思っておいた方が無難でしょう。

ただ、迎え入れた養女がすでに実の親との戸籍上の縁を絶ち切り、名実ともに養親の子となっているような特別養子縁組みが正式に成立していれば、それはもはや事実上の実子であるという事で、基礎控除枠が与えられます。

さらに、嫡出子については同居しているとかいないとか、その子の親と婚姻関係にあったかなかったかに関わらず、認知さえされていれば何人でも非課税枠を持つ法定相続人になれてしまうのです。
ですので、世の中には何気なく道楽しながらも、しっかり相続対策されておられる甲斐性のある殿方も大勢いらっしゃりそうですね。

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