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生命保険は大きく分けて2種類、貯蓄型と掛け捨て型になると言われています。
そして、いわゆる終身保険が貯蓄になるもので、定期保険が掛け捨てだとされていますが、果たして、本当にそうなのでしょうか?

実は、この思い混みが最も怖く、思わぬ落とし穴にはまって損をしてしまう最大の要因なのです。

というのも、確かに終身型の多くは、端から貯蓄部分を融資、自然とお金が貯まる事にはなっているはずなのですが、中途半端に解約すると元本割れしてしまう事も決して珍しくなく、逆に定期型でも、潰すと返戻金が戻って来るケースも少なくないからです。

低解約返戻型の注意点

特に、「低解約返戻型」と呼ばれる終身保険については要注意!
確かに銀行の定期預金よりは高利回りで、ガッツリお金を貯める事はできるものの、その特性を把握していなければ、痛い目に遭う事も大いにあり得るでしょう。

ところが、人気の生保としてランキング上位に入っている終身の多くが、なんとこのタイプの保険!
そう、実に多くの方々が加入されておられる可能性大なのです。

何しろ、月々の掛け金が安いのに、安心の一生保障で、貯蓄性もあるというのですから、興味が湧かないはずがありません。
おまけに昨今では、世の中の景気変動に合わせて予定利率が変わる「利率変動型」と呼ばれる商品が主流で、これらは何と、金利が上がれば返戻率も上がるというではありませんか。

それも、住宅ローンとは違ってインフレリスクがなく、最低元本保証という文句が添えられている以上、元金だけは守られるというのです。
メリット満載で、セールスレディーたちとしても非常におすすめしやすく、売れるべくして売れていると言っていいでしょう。

低料金の理由は?貯蓄性のデメリットとは

ですが、保険料が安価なのには、それなりの仕掛けがあるのが当たり前で、例えば定期保険の場合ですと、貯蓄部分を持たないから、その文が差し引かれ、リーズナブルになるという何ともシンプルな理屈です。

では、蓄え部分を持ちながらも、低料金というこちらの終身保険のからくりはと言うとですね、これまた実に単純明快な話で、お預かりしたお金を使って保険会社が国債などを買い、最終的には増やして上げましょうという仕組!

いわゆる他力本願で、これは一般のどんな生保でも行われている事ではあります。
だからこそ、利率や利回りが提示されるのです。

ただ、がっつり保険料を徴収出来る通常の終身保険とは違い、安さを売りにした商品になると、長期間、それも、ある程度の資金を投じて目一杯財テクしなければ、最終的に約束しただけの大金を準備する事ができません。

そこで、期間中は、毎月払い込まれた保険料で只管資産運用に勤しむため、もし解約された場合には、それまで受領した全額を返金する事が困難になるという訳です。

これは、一括払いや一時払いと呼ばれる全期前納払いでも同様で、いくら最初にまとまったお金を入れてもらったからと言って、一定額以上の責任準備金積立が法令で義務付けられている生保会社としては、それをいきなり全額投資する事はできず、結局は、長期に渡って利息を増やす形を取らざるを得なくなります。

ですので、若干保険料が割引されるというメリットはあるものの、貯蓄性におけるデメリットは回避できないと思っておかれた方が確かでしょう。

責任準備金積立と付加保険料

そもそも生命保険というのは、加齢とともに保険金を受け取る時期が近づくもので、そのリスクに見合う積立金が必要になります。
そこで、30代には30代の、40代には40代の、50代には50代の適正保険りょうというのがある訳ですが、月額の値上がりする事のない終身タイプにおいては、その総額を最初に契約した払い込み年数で均等割して支払う訳です。

これを平準払いといい、それこそ若いうちは、せっせ事将来の保険金を貯める事に徹している訳ですね。
そして、こうして貯めるお金を責任準備金積立と呼んでいるのですが、これがなければ生保は成り立たない訳で、その確保と維持は義務付けられています。

加えて、我々が払い込む保険料には、「付加保険料」という何やら聞き慣れないお金も含まれていて、これはなんと、保険会社の必要経費です。
何しろ、生保会社というのは、顧客が投資して形成される相互会社で、私たちが会社を運営していると言っても過言ではありません。
そのため、自分の保険契約に掛かる費用は、自分で持たないといけないという訳です。

ただ、この経費の大半は、多くの書類を作成しなければならない契約時に掛かるもので、その後はほとんど発生しません。
ですので、最初に回収できれば一番いいのですが、そうなるとまた、支払金額が一時的に大幅に増え、ややこしくなるでしょう。
という事で、これも責任準備金と同様、平準払いにする事とされています。

しかし、責任準備金の方は、後々掛かるであろう費用を積み立てているだけなので、解約すれば、その後は不要なものとなりますが、この付加保険料は、先に使ってしまったものですから、辞めるというのなら仕方ありません。
全額返済してもらいましょうとなり、これもまた、中途解約で返戻金が軽減してしまう大きな要因となっているのです。

結果、特に安価な低解約返戻型保険には、平均30パーセントくらいの元本割れも覚悟しなければならない時期や商品が多数存在するという事になるのであります。

平準払いの特性を生かす

しかし、払い込み期間を60歳までと設定したとして、そこまで頑張って支払えば、付加保険料は完済されますし、責任準備金は十分溜まり、貯金の部分もいくらかは残っています。
ですので、大儲けはできないものの、取り敢えず損はしないというもので、且つ、万が一の時の保障も確保出来ます。
そういう意味では、堅実な日本人にはフィットする商品であるといえるのかも知れません。

されど、この平準払いの特性を生かす事により、一見掛け捨てに見える定期型商品でも、一時的に貯蓄性を持つものが出て来るという事は、意外と皆さん、考え付かれないところではないでしょうか?

平均10年ないし15年の保険期間での契約が主流の多くの定期保険は、正しく年相応の保険料を納めている訳で、解約しても1円にもなりません。
けれど、中には「逓増型定期保険」と呼ばれるものもあって、これは同じ10年契約でも、前半は保証額が少なく、後半になると一気に増額するというちょっと特殊なタイプで、終身同様、最初のうちは、その後々のための責任準備金を蓄積する形になっています。

そして、終盤は、それを切り崩す形で帳尻合わせするようなからくりになっていますから、この切り崩しが始まる直前に解約する事により、余剰金が払い戻されるという訳です。

低解約返戻金型の終身と逓増型の定期!どっちが貯蓄性が高い?

ならば、ここでご紹介した2つの生命保険、低解約返戻金型の終身と逓増型の定期保険、どちらが貯蓄性が高いのかと言うと、これは正しく一長一短で、まず、いつまとまったお金が受け取りたいのかという事により、ある程度選び方が変わって来るでしょう。

仮に子供の進学資金にとお考えなのであれば、長期に渡って効果な学資保険を掛けるよりは、逆算して、後5年で娘や息子が大学生になるという頃から、逓増定期保険に入れば何とかなりそうですし、50歳を過ぎて、突如老後の生活費に不安を感じられる方や退職金が欲しいと思われる自営業の方方にも、こうした定期型商品の貯蓄性は、有効的に作用してくれるものと思われます。

ただし、契約時の年齢や健康状態によっては、保険料が高くなるほか、新規契約すら出来ない事もあり、こうしたリスクは、年々高まります。
無論、貯蓄部分を有さないのにも関わらず、それを持つ終身型と大差がないか、それ以上の月額を要求されることもあると思っておいた方が無難でしょう。

それに対し、若いうちに入った終身は、正しく細く長くですが、故の危険性も低くはありません。
まず真っ先に考えられるのが、自らの経済状況の変化で、その支払いそのものが困難になる事も想定し、死亡時の保障については、絶対に高望みしない事が大切です。

加えて、長いお付き合いをこちらがしようと思っていても、相手が倒産し、それが不能になる事も想定できます。
それでも、生命保険には契約者保護機構が付いていますから、完全に諦める必要はないものの、そうなると、益々貯蓄性は望めなくなりますので、特に一定期間を過ぎ、利益が得られるところまで掛け続けた時点で、こうしたニュース速報が飛び込んで来たら、何とも無念でたまらなくなりそうです。

個人年金を検討する?

そういう意味では、老後のためにとお考えになるのであれば、個人年金保険を検討される方が利口かも知れません。
これは元々年金を貯める事が目的ですから、生命保険としての保障部分は期待出来ませんが、年末調整や確定申告の際に申請出来る保険料控除においては、一般生保や医療保険とは別枠ですので、さらに税金の還付が受けられるという利点も見逃せないでしょう。

という事で、こうして見てみると、実は多くの生命保険が貯蓄型にもなり得るが、損失を出してしまう可能性も秘めているという事になりそうですね。

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