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法人で生命保険に加入する場合、あくまでも掛け捨ての定期保険でなければ、損金として計上できないため、節税にはならないと言われています。

つまり、貯蓄性の高い終身保険や養老保険などは、資産を着々と蓄積している形になり、しっかりと課税されるという訳です。

ところが、そうであるにも関わらず、生保で自分や従業員の退職金準備ができるというのですから驚きです。

まあもっとも、在籍中に不幸にも他界してしまった社員に対しては、その死亡保険金が支払われますから、それで長年の労を労い、遺族の将来に役立ててもらうという事は十分可能になるでしょう。

しかし、人間は命あっての物種です。
何もいくら大金が欲しいからと言って、あえて命を落とそうなんて思われる方はそうはおられません。

だとすると、退職後に生存しながらまとまったお金が受け取れなければ意味がない訳で、それにはやはり、解約返戻金や満期金のある貯蓄型保険でなければならない訳です。

でも、それは経費として落とせないから、税金対策には使えない!
さて、どうしてこんな中途半端な存在のものが、頑張る中小企業の社長さんを助けてくれるのでしょうか?

定期保険=掛け捨ての概念が間違っている!?

実は、定期保険イコール掛け捨てという考え方事態が間違っていて、そう思い込んでいる我々一般人は、残念ながら、経営者としての才能に欠けると言えそうです。

定期商品の原則は、払い込んだ保険料が返って来る事はありません。
その理由は貯蓄部分を持たないからです。

それが故に安いというスタイルなのですが、実際にはどうかと見てみると、なんと、ある時期までに解約すると、ちゃんと返戻金があるのです。

というのも、そもそも保険というのは、死亡時に大きなお金を用意する事を前提に作られたもので、当然、その時は、加齢とともに近づきます。

早い話、30歳の時より、50歳の時の方が命を落とす確率は上昇するという事ですね。
そこで、30代の時に入れば安い生保も、50代に突入してから加入しようとすると、保険料は大幅に上がります。

この事は、誰もがよくご存じの事ですが、ならば、その安いはずの30歳で契約した商品は、50歳になった時、どうなっているのでしょうか?

見直しなどをしなければ、相も変わらず安いままです。
でも、実際は、リスクが高まっているのですから、保険料も高まっていなければいけないはずなのになぜでしょう?
ちょっと不思議に思われませんか?

予定死亡率と払い込み金額

まあもっとも、だから早く入って、コツコツ積立してるんじゃないと言われるかも知れませんし、全くもって、それはその通りなのですが、そのコツコツが、実はかなり必死にガンガンだったりなんかするのです。

というのも、保険会社としては、各年齢ごとに貯めて頂きたい額というのがあって、それは、その世代の人たちが、男女別に、それぞれ何人くらい死亡するのかで弾き出します。

なぜなら、その人たちに支払われる保険金は、我々加入者の納めた保険料から出るものだからです。

即ち、30代なら1,000人いても、怪我や病気で亡くなる方は恐らく2人か3人くらいしかいらっしゃらない事でしょう。

これはあくまでも、これは保険会社の推測で、これを予定死亡率と言います。
よって、仮にと思っておいて頂ければ無難かと思われますが、この場合だと、1,000人の契約者で、2人分の保険料を支払えるだけ1年間に貯金してもらえればいいというのが彼らの見解です。

ところが、それが40代に入ると、4人くらいはお亡くなりになりそうで、さらに50代になると、6人程度は他界されるものと見なければならなくなってきます。

すると、当然、貯金は増やしたい訳ですが、契約者の数が増えなければ、個人の負担額を上げるしかない訳です。
これが年齢とともに掛け金も上がる生命保険の仕組みです。

責任準備金と平準払い

しかも、これは、貯蓄性を持つ保険であろうがなかろうが関係ありません。
むしろ、終身や養老などの貯蓄の部分というのは、あくまでも貯蓄であって、保険金や給付金を払うための責任準備金と呼ばれるお金ではないため、全く切り離して考えられます。

要するに、終身保険に入っている人たちというのは、わざわざ銀行に預けてもいい小銭を引き出しにくい生保会社に預け、ガッツリ貯まるようにしておられるだけの話なのです。

と、話が少し横道に逸れてしまいましたが、こうなると、30代では年間に1人の人が月々1,000円払い込んでくれればやって行けるはずのプランも、40代になると、そうは行かなくなり、保険料を値上げせざるを得ないというのが本音です。

これが最も顕著に表れるのが更新型の定期保険!
10年前後で切り替え時期を迎える医療保険などは、その都度、同じ保障内容なのにも関わらず、月額がアップする事は普通のように受け入れられていますよね。

ただ、それが同じ定期型でも、20年・30年の長期契約になったらどうでしょうか?
一世代上がっても、なかなか保険料は上げられません。

そんな事をすれば、生保会社の方もややこしくてしかたないでしょう。
そこで、最初にトータルでいくら納めてもらえれば成り立つのかを算出し、その総額を契約月数で割った金額を月額にするというシステムを取っています。

これを平準払いと言い、例えば、満30歳で、60歳までの30年定期保険に加入したとしましょう。
そして、30代では年間1万円ずつ、10年間で12万円を、40代では、年に2万円ずつ24万円を、50代では毎年3万円ずつ36万円を貯めなければならないとします。

すると、最終的に目指す金額は、12万円+24万円+36万円で72万円!
それを12ヶ月×30年の360回払いにすると、月額は2,000円になりますね。

けれど、本当は30代のうちは年に1万円貯めればいい訳ですから、月々の支払いは800円そこそこでいいはずでしょう。

逆に、それが50代になると、年に3万円という事は、月々2,500円も払わなければなりません。

それが一律2,000円という事は、30代のうちは過分に納め、50代になると、それを切り崩す形で、少しずつ補填している事になるのです。

そのため、その切り崩しが始まるまでは、多少なりとも貯蓄部分がある事になり、それは解約すれば、その後は無用になるものですから、返戻金として返って来ます。

中途解約することで恩恵を受けることができる!?

そう、定期保険は完全なる掛け捨てなんていうのはとんでもない思い込みで、多くの人は、それを知らずに、何となく期間終了まで放置しているということになります。

でも、実は終身型とは違い、中途解約する事によって、その恩恵を大きく被る事ができるのです。

よって、切り崩し直前が解約返戻金のピークで、例え経費計上出来る定期保険であっても、ここで解約すれば、ある程度まとまったお金が受け取れます。
そこで、それをそっくりそのまま自分や役員たちの退職金として支給しようという作戦ですね。

損益として扱われる定期保険で節税対策

だったら何も、わざわざ生保にしなくても、現金で蓄えて、それを現物支給すればいいのではと思われるかも知れませんが、実は、一般社員のための退職金は中小企業退職金共済というのがあって、ここで積み立てできるものの、社長以下、役員のための退職金準備には使えず、社内で貯めると、それは儲けとなって課税されるという訳です。

その点、損益として扱ってもらえる定期保険なら、節税にもなりますし、万が一の時には、給付金や保険金も受け取れます。
それで経営上の資金繰りが救われる事も大いに考えられるでしょう。

長期平準型と逓増型定期保険

ただし、この手を使うには、先の通り、返戻金のピーク時と退職がきっちりフィットしなければ一気に効力を落としてしまいます。

ですので、ここでご紹介したような長期平準型の定期保険は、高齢者の多い役員への退職金対策としては、あまり意味を持ちません。

その場合は、短期間で返戻金のピークを迎える逓増型定期保険が利口です。
このタイプの商品ですと、加齢とともに補償金が増える仕組みになっているため、早期に貯蓄性が高まり、その後、急激に切り崩されます。
なので、退職までカウントダウンという頃に加入しても、十分間に合うでしょう。

また、昨今では、端から退職金対策として活用すべく、法人向けに作られた「低解約返戻金定期保険」というのもあって、こちらは払い込み期間終了後に一気に貯蓄部分が増えるタイプ!

その代わりに、保険期間中は、ほとんど返戻金はありません。
すなわち、最初から10年後に使うとか、20年後に使うというのを前提にしたもので、何だか自分の引き際を見定めるようですが、トップとしては、その目も大切だと言えるでしょう。

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