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生命保険というのは、所得税や住民税の課税対象にもなれば、控除対象にもなります。
つまり、税金を取られる事があるかと思えば、還付される事もある訳で、その事をしっかり把握し、なるべく損をしないように計算する事が大事です。

そこで今日は、やっぱり少しでも節税に繋がれば有り難いという事で、還付される額を計算してみましょう。

これは保険料控除という枠を活用するもので、給与所得者の場合は年末調整で、主婦や自営業者などの場合は、確定申告で申請できます。
しかも、住民税にも反映されるだけに、忘れず手続きしたいものです。

ただし、過去に支払った掛け金全てが返って来る訳ではなく、対象となるのは、その年1年間に納付した保険料のみです。

というより、これは納めた税金の一部が割り引かれるため返って来るというだけで、特に専業主婦の方などは、元々納税していなかったり、その金額がわずかである事が圧倒的多数!
よって、いくら頑張って申請したところで、その恩恵を被れる事はありません。

専業主婦の場合は夫の出費とみなされ控除の対象となる場合も!

ですが、よくよく考えてみると、専業主婦であるという事は、収入0!
夫の給料などで生活している訳で、当然、例え自分名義の生保であっても、その保険料の出所は旦那の懐という事になるでしょう。

そうなると話は別で、保険料を支払ったご主人の出費と見なされます。
結果、控除が受けられる事になるのですが、流石にそれは、自分にプラスになるというのが条件になり、その保険金や年金の受取人が夫、もしくは、妻や子供と言った特定の親族でなければなりません。

また、すでに旦那名義の生保等で上限に達していれば、やはり申請する意味がないという事になりそうです。

そう、この生命保険料控除には、上限額というものが定められているのです。
そこで、まず先に、それを知るのが第一歩!
面倒な計算はその後です。

一般保険料・個人年金保険料・介護医療保険料の3区分!トータル12万円が上限に

ところが、その上限額が平成22年度の税制改正で変わってしまい、しかも、本格的に新制度が導入された以降、即ち、平成24年以後に契約した保険と、それ以前に契約した保険とでは、扱いに差が出てしまいました。
早い話、旧契約は旧制度で、新契約は新制度で計算するというのです。

ちなみに、旧制度による控除枠は、一般生命保険料と個人年金保険料の2区分で、それぞれ上限5万円ずつ、合計10万円!

医療保険や介護保険なども全て一般生保に分類されていましたが、新制度においては分割され、一般保険料・個人年金保険料・介護医療保険料の3区分となります。

その代わりに、それぞれ4万円ずつを上限とし、トータル12万円と変更されたのです。
ですので、それを踏まえて検証してみましょう。

控除の具体例

例えば、ここでモデルになってもらうのは年収600万円のサラリーマンAさん。

妻1人って、まあこれは当たり前ですが、娘も1人いて、月額の保険料の支払総額は3万円だそうです。
で、その内訳は、一般生保に該当する終身型の死亡保障保険が1万1,000円、医療保険が1万円、そして、個人年金が9,000円。
そうなると、年間に支払う合計は、終身13万2,000円、医療12万円、年金10万8,000円で、いずれも旧制度・新制度とも、10万円超となる最大限の枠に該当します。
即ち、目一杯まで控除を受けられるのです。

けれど、この終身保険と医療保険が、どちらも平成23年までに加入したものであれば、ばらして申告する事はできません。
そのため、一般で5万円、年金で5万円の総額10万円のみが対象です。

それが新制度においては、それぞれ4万円ずつ、12万円の控除が受けられる計算となり、断然お得です。
さらに、上記の医療保険が平成24年以降に新規、あるいは追加で契約したものでも、新制度が適用されますから、同じく4万円分の控除が受けられる事になるでしょう。

ただし、ならば、5万円+4万円+4万円で、13万円になるのかと言えば、ぬか喜び!
そこには、いかなるケースも、最高額12万円という規定があるため、それが上限となってしまうのです。
また、終身の方を同じく平成24年以降に見直し、転換や更新等を行った場合でも新制度の適応となりますので、4万円までしか対象になりません。

という事で、このAさんのお宅では、いくらくらい税金が戻って来るのかと計算してみると、まず、600万円の年収に対して無条件に受けられる控除が、600万×20パーセント+54万円ですから、174万円。
で、これを最初に差し引きますと426万円ですね。

そこからさらに、自分の基礎控除額38万円と、愛妻の配偶者控除額38万円、それに、可愛い娘の不要控除額38万円を差し引きましょう。
すると426万円-38万円×3の114万円で312万円になります。
加えて、恐らく真面目に社会保険料も納めていらっしゃるでしょうから、その分の控除額が70万円という事で、それも引くと、現時点の課税対象額は242万円です。

見直しのタイミングや時期

さあ、ここからいよいよ生命保険料控除の計算!

最初に旧制度を使うとして見てみると、こちらの場合は対象額が一般枠の5万円と年金枠の5万円ですから、合計10万円で、上記の課税対象額によって決る税率10パーセントを適用する事により、所得税の還付額は1万円となる訳です。
つまり、1万円税金が返って来るという事ですね。
ところが、それが新制度が使用できるとなると、それぞれの枠ごとに4万円ずつ、トータル12万円ですから、1万2,000円に増えます。

加えて、実はこの控除制度は住民税にも設けられていて、そちらもしっかりと計算しなければなりません。
で、その住民税の控除額はと見てみると、旧制度に該当する保険については1区分当たり3万5,000円、新制度の対象となる保険については、1区分につき2万8,000円となっています。

尚、住民税の税率は、一律10パーセントです。
ですので、Aさんのケースで旧制度使用となりますと、一般生保の3万5,000円の1割、3,500円が還付額ですが、新制度では、2万8,000円×3区分で8万4,000円の1割、即ち、8,400円も返って来る訳です。

という事で、先の所得税の分と合算すると、旧制度なら、1万円+3,500円で1万3,500円にしかなりませんが、新制度が使えれば、1万2,000円+8,400円で、なんと2万とんで400円も税金が返って来るのです。

これを考えると、そろそろ既存の生命保険を見直してもいい時期だと言えるのではないでしょうか。

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