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相続税や所得税の二重課税のデメリット!生命保険と年金型と税金
年金型生命保険の税金対策
公的年金が当てにならないと噂される昨今、ならば、自分で自分の老後の生活資金を準備するしかないという事で、個人年金保険というものが人気と支持を集めるようになりました。
また、年末調整や確定申告で受けられる生命保険料控除、ここにもそれに対する控除枠があるという事は、国もそれを指示しているという事なのでしょう。
個人年金保険料税制適格特約の仕組み
また、保険料を10年以上にわたって払い込む事という条件もありますので、一時払いでは話になりません。
所得税や住民税を抑えるためにはまず、被保険者と受取人が同一人物で、且つ、満60歳を過ぎてから10年以上受給できるプランに加入し、毎月コツコツ支払っていなければならないのです。
加えて、受取人は契約者本人か、配偶者に限られ、こうした条件を満たして初めて、「個人年金保険料税制適格特約」というものが添えられます。
すると、税金の控除が受けられるという仕組みなのです。
ですので、今後こうした保険に契約されるのであれば、この要点をしっかり押さえて、契約形態や支払い方法、そして、受け取り方を決められる事は大切でしょう。
途中解約のデメリット
さらに、多くの商品は、途中で解約すると、一応返戻金が支払われる事にはなっているものの、その金額は、それまで払い込んだ保険料の総額を下回り、いわゆる元本割れするものが圧倒的多数で、これが最大のデメリットであると言えます。
そうなると、収入どころか、マイナスになる訳ですから、手にした解約返戻金は完全非課税にはなりますが、それでも、やはり納得行かないのが本音!
ですので、確かに老後を裕福に暮らすためには、お金は沢山あった方がいいには決まっていますが、だからと言って、無理して高額の保険料を納めなければならないのは考え物ではないかと思われます。
また、長期にわたって受け取るとなると、生命保険会社の倒産というリスクも多少は踏まえなければならず、そういう意味では、日本生命のように、大手で存続が危ぶまれないような会社のお手頃価格のプランを組むのがポイントになって来るかも知れませんね。
そしてもう一つ、いざ受け取るとなった際の税務処理の事も十二分に配慮しなければなりません。
まず、本人が自分の支払ったお金で毎月の収入を得るのであればいいのですが、例えば、夫名義の保険から、妻や子供が受け取るとなれば、これはその権利を献上した事となり、贈与税のターゲットとされてしまうのです。
ちなみに、こうした保険による年金受給権の評価額は、解約返戻金の額もしくは、予定利率等をもとに算出した金額及び、年金に代えて一時金として給付を受ける場合には、その一時金の金額となり、最も高値が付いたものが用いられます。
また、ここで与えられる非課税枠はたった110万円です。
おまけに、この理屈は、先の解約についてもそうですが、収入保障保険や分割払い型学資保険のようなその他の年金型保険にも全て当てはまります。
その上、被保険者が亡くなった後に下りるものについては、例え契約者と受取人が同一人物でも、相続税のターゲットとなってしまいますから、油断はできません。
年金にも税金がかかる
何しろ、故人が残した資産という事で、遺産となり、それを今後誰かが受け取るという事は相続するという事になってしまうのです。
ところが、ならば致し方がありませんと、きちんと相続税を納めたのにも関わらず、近い将来、また、今度は所得税を課せられるという事態が発生するかも知れないではありませんか!!
これがいわゆる二重課税問題で、一時期テレビや新聞を賑わわせていましたから、記憶に残っている方も大勢いらっしゃる事でしょう。
そのからくりは?と思い出してみると、先の贈与も同様ですが、受給者としての権利を受け取った時にまず、相続税や贈与税の納税義務が生じます。
当然のことながら、これはどんな生命保険や損害保険でも当てはまる事で、ここまでは特に大きな問題はないものと言えそうです。
けれど、年金型保険と通常の生命保険との最大の違いは、その給付金の受け取り方で、年金とは読んで字のごとく、年々下りるお金、すなわち、何年間かにわたって分割払いされるものを示します。
そして、すでに厚生年金などを受け取っておられる方ならご存じかと思いますが、年金は立派な所得ですから、非課税枠を超えると、所得税が課せられる事となっているのです。
ですので、未亡人となってしまっても、頑張って働き、子供を育てている場合などは、そこに亡き夫の収入保障保険からの給付金が年払いや月払いで下りれば、雑所得となり、がっぽり税金を取られる事になってしまいます。
それも、先に相続税を納めているのにも関わらずです。
こんなおかしな事が、長年まかり通っていたというのですから、何とも困った話ですね。
年金として受け取ると損する場合も!?
しかし、最高裁判所が、この矛盾を指摘する判決を下して以降、徴収しすぎた税金については、還付する事を国も名言し、今では、こうした不可思議な事がないよう、生命保険会社も十分気を付けているようですから、その辺は心配する必要はないでしょう。
故に、契約時や受け取り時の自分たちの浅はかな選択で節税対策を失敗しないように十二分に気を付けなければなりません。
実際問題、一括で保険金を受け取るのと、年金として受け取るのとではどちらがお得かと比較してみると、税務上は、一括の方が優位になる事が少なくない事が判明します。
特に、就労による収入がある方などは、あえて年金として保険金を受け取る意味が薄く、雑所得が増える分、損する事になりそうです。
少なくとも、非課税枠に収まる程度の生命保険なら、一時金として払ってもらい、預貯金にしておく方が、利息に対する分離課税はあるものの、確定申告が無用となり、余計な手間も省けますし、受け取り満了までに保険会社が倒産したら・・・というデメリットも回避できます。
ただし、個人年金保険については、分割受け取りにする事により、先のような生命保険料控除のメリットもありますので、いかなる場合も、それぞれの商品が持つ特性と国の定める税法をしっかり照らし合わせ、少しでも損をしないような形態で契約したいものですね。