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終身保険の解約返戻金は、取り敢えず一時所得と見なされ、課税対象となります。
とは言え、多くの場合は非課税になりますから、大丈夫、心配する必要ありませんよと、保険会社の人は言ってくれますよね。

それには、元々自分が払ったお金である部分が大きく、それは臨時収入でもなんでもありません。
預けていたものが返って来ただけという事で、綺麗に差し引かれ、さらに、50万円の控除が受けられるという仕組みになっているからです。

従って、払い込んだ保険料の総額+50万円!
少なくとも、これだけは免税されるもので、加えて、残りを半分に割った金額、それに所得税が課せられます。

50万円の控除で非課税に?

となるとですね、月々1万円ずつを30年間予定利率0.2パーセントの終身保険として掛けていたものを潰したとするとどうなるでしょうか?

月額1万円という事は、年間で12万円、それが30年ですから、納めた総額は360万円という事になります。
そして、その利息が0.2パーセントという事は7万2,000円!
よって、360万円+7万2,000円=367万2,000円という事で、確かにこれでは、払込総額プラス50万円の控除もろくすっぽ使えない状態ですから、非課税もいいところですね。

ところが、毎月10万円ずつ同じ予定利率0.2パーセントの30年払い込み保険に入っていたとしたらどうでしょう?
一桁上がって、3,672万円が受け取れる事になるはずです。

しかし、そのうちの3,600万円までは自分のお金という事で、収益にはなりません。
加えて、50万円の控除が受けられるとすれば、3,672万ー(3,600万+50万)という計算式が成り立ち、課税対象となる超過額は22万円となるのですが、法令上、さらにこの半分しか見ない事にしましょうという約束があるので、この場合、税務署が目を付けるのは11万円分という事になります。

それでも、全く税金が掛からないわけじゃないじゃない!
あの生保レディーは、やっぱり嘘つきだ~!
と思われる方も多いかも知れませんが、実は上記の例でご説明すると、自分が預けておいたと思っている360万円、あるいは3,600万円。
これが全て保険会社の口座に残っている訳ではないんですねぇ!!

解約控除(手数料)が差し引かれる

実は、一つの保険を成立させるのに、営業のおばちゃんたちが本当に一生懸命頑張る訳ですが、それに伴い、会社はかなりのコストを要します。
そこで、それをまずは差し引く、即ち、手数料を取られる訳です。
これを「解約控除」と表記する事もよくあります。

加えて、後に死亡すれば、必ず掛け金以上の多額の保険金を支払わなければいけないという事で、その時に備え、その中からいくらかずつを別途、自分たちの方で積み立て、それこそ、ちりも積もればの感覚で、多額の死亡保障を下ろせるようにしている訳です。
ちなみに、これを責任準備金と言い、支払い保険料からこの額を差し引いた金額を「契約者価格」と言います。

よって、今回の例ですと、360万円、あるいは3,600万円からこの契約者価格と解約控除を差し引いた分に0.2パーセントの利率をプラスした金額が解約返戻金となり、お見事!
ほぼ200パーセント非課税となるというからくりなのです。

という事で、一先ず、ちょっと狡いような気もしないでもありませんが、営業マンや営業ウーマンたちが、それほど大嘘つきではないという事は判明しました。

加入時期もポイントに!

ただし、いつ加入した商品なのかというのが一つの大きなポイントで、バブル期の頃の契約だと、当時の高利率がそのまま適応されている可能性も高いでしょう。

そうなると、もちろん払戻金は多くなりますから、お宝保険などと呼ばれている訳ですが、それだけ税務処理場は非課税額を超過する部分が多くなる可能性も高くなりますので、そこは気を付けなければなりません。

ですので、もし、そういう保険があるのであれば、そのまま放置し、死亡保障を受け取るまで我慢するか、もしくは、契約者貸し付けという制度を使い、限度額一杯まで借り入れした後に、利息がもったいないからという理由を付けて解約すると、当然ですが、借金分が減額された額で入金されますので、収入は大幅に減少され、税金で持って行かれる心配はなくなります。

無論、この時点で、その後の保障は一切なくなりますが、それは解約返戻金を目当てに潰しても全く同じで、且つ、借入金も完済となり、帳消しになりますので、それなりに全てが丸く収まるという作戦です。

配偶者控除と確定申告!契約者と受取人が違う場合は?

さらにもう一つ、奥様が解約返戻金を受け取り、まとまった所得を手にしたとなると、その金額によっては、38万円を優に超えてしまう事も大いに有り得るでしょう。

そうなると、配偶者控除が受けられなくなりますので、その調整のため、夫婦で確定申告をする必要性+、納税義務が発生します。
ですから、このケースにおいても、先の貸し付け利用が生きて来るかも知れません。

さらにもう一つ、契約者が別人で、受取人としてそれを手にした暁には、贈与がなされたと見なされ、110万円以上は全て贈与税の対象になってしまうのです。

この場合、保険料は自分で払ったものではないという事で、これまでの払い込み量が免税されるという事もありません。
従って、ここでも同じような節税対策が組めますが、ここで一つ、契約者が借りたお金を受取人に貸すという計上だけは作っておかないと、やっぱり譲渡になり、贈与になって来ますので、意味を持たない事になりそうですね。

でも、少しくらいなら、黙っていても分からないんじゃないの?
そう思われるかも知れませんが、そうは問屋が卸さないのが税務の世界!
自分が申告しなくとも、保険会社が勝手に、いつ、誰が契約した保険が解約され、誰にいくらの返戻金を払ったかという事を支払い調書にし、税務署に提出してくれるのです。

これは、終身保険の解約返戻金に限らず、養老保険や学資保険のような積立型の保険が満期になった時の祝い金もそうですし、死亡保証金もそうです。
総額が100万円を超えれば、必ず報告します。

ならば、100万円以下なら問題ないでしょうというようなものですが、逆に、そのレベルでは、我々一般ピープルにしてみれば大金であっても、国にしてみれば、はした金です。

まかり間違っても、がっぽり税金を取られる事ありませんので、どちらにせよ、素直に申告しておいた方が利口でしょう。
隠しても、バレる確率が高い上、判明すれば、追徴課税だの、延滞金だのと、後でかなり厄介な事になります。

という事で、生命保険というのは、単に支払っているだけという時は、年末調整で保険料控除が受けられ、万が一の時には保障してもらえるという事で、実に有り難いものですが、解約するとなると要注意です。
消費税が上がり、益々家計が苦しくなった昨今、少しでも損をしないように、上手に潰したいものですね。

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