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皆さんは、自分が会社、それも超有名な大会社の構成人員であるかも知れないとか、容易にそうなれると考えられた事はありますか?

こんな質問をすると、まさか、そんな事、ある訳ないでしょうとおっしゃる方が圧倒的多数なのですが、どうしてどうして、そんな事が大いにあり得るんです。
嘘だと思うのなら、自宅を家捜ししてみて下さい。
国内系の大手生命保険会社の保険証書が出てくれば、かなりの高確率で、もうすでにその会社の社員です。

相互扶助関係から成り立っている独特の運営形態

というのも、いわゆる4大生保と言われる国内資本の保険会社のうち、3社までが相互会社と呼ばれる形態の企業で、顧客イコールその社の持ち主という事になります。

生命保険というのは、元々仲間同士でお金を出し合い、万が一の時のために積み立てたものを、誰かの非常時に役立てようという助け合いの精神から生まれた善意の塊で、決してどこかに大口のスポンサーが存在するものではありません。

正に相互扶助関係から成り立っていて、独特の運営形態を持つものであると言っても過言ではないでしょう。

そして、そのスタイルをそっくりそのまま当てはめた法人が相互会社!

アメリカでは、相互貯蓄銀行と呼ばれる特定の顧客相手に貯金の受入れと資金の貸付けを行う組織なども存在しますが、日本においては、保険業にのみ認められる会社形態です。

その最大の特徴は、お客と社員が同一人物である事で、株式会社ではありませんから、株主はいません。
つまり、営利目的や財テクで投資してくれる人はいない訳です。

しかし、株式会社の持ち主が株主たちである事を考えると、相互会社の持ち主は一体全体どこの誰になるのか?
また、どうやって資金調達しているのか?

あれこれ気になるところですが、まず、資本の出所は何を隠そう私たち加入者が払い込む保険料で、それを売上げではなく、出資金として取り扱うという形を取っています。
その代わりに、全てのお客様を我が社の持ち主としましょうというのが成り立つ仕組みなのです。

多額の利益が出ても株主に支払う必要がないメリットも?

ならば、これによってどんなメリットがあるのかと言うと、どんなに多額の利益が出ても、株主に支払う必要がありません。
社員にのみ分配すればいいのです。
よって、単に生保に加入しているだけで儲けが得られる事は大いに考えられるでしょう。

ただし、その恩恵を被るためには、「有配当保険」と呼ばれる配当金の支払われる商品に加入する事が必須で、当然、掛け金はその分高額になります。

そのため、少しでも月々の支払いを安価に抑えたいという事で、お手頃価格のプランを選択していれば、恐らく対象外であると思っておいた方が無難でしょう。

それどころか、会社運営のためのお金を納めているようなものですから、そこから経費や従業員の給料が捻出されている訳です。
その証拠に、個人年金保険や養老保険のような満期のある積立て型の商品、あるいは、終身保険を解約すると、今までに払い込んだ分が全額戻って来る訳ではありません。

解約返戻金と呼ばれる還付金は、そうした保険会社のコストを差し引いた額で、種類や期間によっては、元本割れする事は決して珍しくないのです。
こうした部分が、相互会社ならではのメリットとデメリットであると言えます。

収支相当の原則

尚、保険会社は儲かるなどとよく言われますが、こういう成り立つ仕組みを知った以上、そんな事があっていいのかという気がしますよねぇ!!
そうなんです、絶対にそういう事はあってはいけないのです。

そこで、どこの生保会社でも、相互法人である以上は必ず、「収支相等の原則」というルールの下に運営しています。

これは、加入者全てが納める年間の保険料の合計と、保険会社が保険金や給付金として受取人に支払う1年間の出費の合計金額が等しくなるように努めるというもので、例えば、死亡保障1,000万円の1年定期保険に満40歳の男性100人が契約しているとしましょう。

そして、その中の2人が残念ながらお亡くなりになりました。
すると、遺族に支払われる金額は1,000万円×2人分で2,000万円!
そこで、この2,000万円を100人の契約者で平等に負担するとすると、2,000万円÷100人で20万円!

即ち、それが一人当たりの年間の保険料という事になり、月額9,000円ほどでしょうか、最もオーソドックスなレベルだろうと思われます。
さらに、保険会社側の収支は一致し、利益もない代わり、損金もないという事になります。
これこそが収支相等の原則という法則なのです。

保険の配当金

とは言え、この年間死亡者2名というのは、あくまでも予定死亡率であって、実際には、こう思うとおりにうまくは行かず、100人中2人しか死去しないという事は、特に高齢になればなるほど考えにくくなります。

そのため、自然と同じ保証額でも、加齢とともに保険料が上がるという訳ですが、保険会社だって、我々が出資した大切なお金を、単に意味もなく預かっている訳ではありません。

まずは経費節減に努め、極力無駄な出費を減らした上で、それを資産運用し、少しでも利益を上げようと日々頑張っています。
また、予定死亡率よりも年間の死者が少ないという喜ばしい結果が出る年もないとは言えないでしょう。

すると、損益は先述のように相等しくはならなくなってしまいます。
うまくやれば、多少は儲かる訳です。

ですが、そういう事はあってはいけないのですから、どうするのか?
ならばという事で配当します。
これが保険の配当金で、このような図に基づいて保険というのは成り立っている訳ですね。

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