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税制改正大綱として、遺産相続に掛かる税金の基礎控除額引き下げが騒がれて依頼、俄に注目を集めるようになったのが、生命保険で相続税対策ができるという噂です。
果たして、これは真実なのでしょうか?

まず、事の発端となった平成25年度税制大綱を改めて見てみると、確かに、平成27年1月以降、相続税の控除額を3,000万円プラス、法定相続人1人当たり600万円に引き下げるとされています。
早い話、増税になるという税制改正です。

という事は、仮に父親が亡くなり、兄妹3人が残った場合、3,000万円プラス、600万円×3人分となり、総額4,800万円までなら非課税ですが、それを上回る分は課税対象となってしまう訳です。

こうなると、都心部に土地付きの一戸建てでも持っていれば、たちまち要注意という事になり、これまでの土地の評価額というのは必ず市場取引額が時価を下回り、絶対的に優位になるから不動産で残すという手は、かなり危うくなるでしょう。

ちなみに以前の基礎控除枠は、5,000万円プラス、法定相続人1人当たり1,000万円でした。そのため、3兄弟が残れば、総額8,000万円までが税金なんて関係ないないの世界!
流石にこれだけあれば、ちょっとやそっとの家屋敷があっても余裕というものでしたが、今やそうは行かなくなってしまったという訳ですね。

一時払いの終身保険!相続税の対象に!?

という事で、俄に脚光を浴びる事となったのが生命保険!
それも、一時払いの終身保険です。

確かに、何と言っても保険金というのは、本人が亡くなってから支払われるものですから、もはや親の遺産ではない訳で、なるほど、これならという気がしますよねぇ!?
ですが、残念ながら、生きてる間に手にできなくても、それは何故か亡くなった人のものということで、このような端から故人に遣う権利やチャンスのないものを「みなし相続財産」と呼び、しっかり相続税のターゲットとなるのです。

それこそ身も蓋もない話で、だったら、別に節税もへったくれもないじゃないっという声が聞こえて来そうですね。

けれど、生命保険の本来の意味を思い出してみて下さい。
そもそも、残された家族が路頭に迷ったり、進学を諦めずに済むようにという事で、若いうちから必死に家計を切り詰め、お父さんたちは、お小遣いを削られながら掛けて来た大切なライフラインです。
それをふんだくるなど、お上がする事ではないでしょう。

そうなんです、流石にお国もそこまで残酷な事は出来ませんから、遺族が最低限困らないだけのものは取り上げない事としているのです。
その金額は、法定相続人1人当たり500万円!
これが所謂死亡保障の非課税枠と呼ばれるもので、仮に3姉妹が残されれば、500万円×3人=1,500万円までが見て見ぬ振りされる訳ですね。

無論、夫婦と子供2人という今の典型的核家族構成においても全く同様で、両親のどちらかが他界すれば、残るは夫か妻と子供2人、合計3人が法定相続人となりますから、同じように計算出来ます。

全額課税対象外となる事例

となると、物は考えようで、もしも今、銀行や郵便局に1,500万円の預貯金があり、それをそっくりそのまま置いたままあの世へ旅立ってしまえば、それはまるごと相続評価額に換算されてしまい、たんまりと税になってしまうのですが、取り敢えず保険金として保険会社に預け、死亡後にその給付金として遺族に支払われるという形が取れれば、全額課税対象外となるんですねぇ!!
つまり、相続財産が、あらら、消滅してしまうというちょっとしたマジックなのであります。

しかも、一時払いというのは、最初に掛け金の総額をまとめて支払うものですから、比較的健康診断等の審査も簡易で且つ、満80歳くらいの高齢者でも入れる商品がズラリとラインナップされています。

何故なら、元々終身だけなら、対象者が何日入院しようが、保険会社には一切サポートの必要がなく、あらかじめ最後までの掛け金を払ってもらっている訳ですから、途中までしか修めず他界し、死亡保証金だけをがっぽり持って行かれるような損はしません。

だから、持病があっても、お年寄りでも、さほど気にせず、むしろ、営業マンにとっては、新規獲得で成績アップに繋がるという事も手伝って、大歓迎という感じなのです。

贈与税対策にも使える年払い終身保険

さらに、生命保険は相続税対策ではなく、贈与税対策にも使えます。
とにかく少しでも遺産をもらった後の納税額を軽減したければ、非相続者の持ち金を減らしておくに限ります。

そこで、近頃は、生前贈与の方がお得なのでは?
という声も聞かれますが、どうしてどうして、税率だけを見ると、間違いなく先に大金を受け取る方が不利で、それならそれで、しっかりと対策を練る必要性は否めません。

ちなみに年間110万円までなら、贈与税の非課税となりますから、取り敢えず毎年それだけを我が子と孫に進呈しておくというのが、最もオーソドックスなパターンではあるでしょう。

ただ、若いやつに大金を持たせるとろくな事がないという心配が生じ、それが元で、可愛い孫が不良になってしまっては困ります。
ならばという事で、そのお金で、自分が死んだ時になってやっと本当に遺産が入るように、生命保険に入っておくという作戦です。

ですので、この場合は、一時払いではなく、年に一回、1年分ずつをまとめて支払う年払い終身保険で、契約者はあくまでも贈与を受ける後のご遺族様!
そして、受取人も同一人物でなければ意味がありませんから、そのような形となる訳です。

50万円の控除額を差し引いた2分の1が課税対象額になる

でも、そうなると、今度は例え被保険者は非相続者であっても、受け取るのが孫や子という事で、所得税の方の心配が出てくるでしょうとおっしゃるかも知れませんが、それが案外そうでもないんです。

確かに、死亡給付に限らず、解約返戻金でもそうですが、まとまったお金が入れば、一時所得となり、納税義務が発生する事は間違いありません。
けれど、ここでまたまた、よくよく考えてみて下さい。

親やおじいちゃん・おばあちゃんからもらったお金で支払っていたとは言え、一応保険料を納めていたのは他の誰でもない、私な訳ですから、自分の払ったお金を返してもらっただけです。

それを雑書特を得ただろうと言われ、たんまり税務署に持って行かれるのでは、やっぱりたまったものではありませんよね。
そこで、国もそういう苦情が出ないようにするために、今まで保険料として納付した分は事実上所得ではないという事もありますから、綺麗さっぱり差し引く事にし、さらに、頑張って来たご褒美として、50万円の控除枠も用意しています。

ですので、仮に1,000万円の保険金を受け取ったとしても、それまでの掛け金が950万円ほどあったとすれば、ほぼ全てが非課税となり、納税義務は発生しません。
加えて、少々それを上回るような高利率の商品に加入していたとしても、控除額を差し引いた分のさらに2分の1、たったこれだけが課税対象額ですから、手にしたお金からすれば、微々たる税金という事になるでしょう。

という事で、相続税対策にも、贈与税対策にもなる生命保険、活用しない手はないのですが、あくまでもこれは一度に多額の掛け金が払える人の話であって、それが厳しい人は、逆に、それほどこの2つの税金について悩む必要のない、ある意味、幸せな方と言えるのかも知れませんね。

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