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認知症患者の場合はどうなる?生命保険と高度障害特約について
生命保険の死亡保障は、必ずしも他界せずとも手にできるという事をご存じでしょうか?
例えば、死亡時1,000万円の保険金が受け取れるプランに加入しているとすれば、死んで初めて遺族にそのお金が入るというのが一般的な見解かと思われますが、実は大半の生保の約款には死亡保障の受け取り条件として、“死亡した場合または所定の高度障害状態に該当した時!”と記載されているのです。
稀にこれを高度障害特約と説明するFPもいらっしゃいますが、残念ながら、特約とは言えません。
立派なメイン保障の一つです。
という事で、これは!と思えば申請するべきでしょう。
保険というのは、死のうが何しようが、加入者が申し出して手続きしない限り、向こうからお金を払いましょうとは絶対に言って来ませんから、このような制度がある事を把握しておく事は大切です。
贈与税や所得税の対象にはならない
契約者と被保険者が同一人である場合、この保険金は、生存中に受け取るものであって、相続税の対象にはなりません。
仮に受取人が配偶者や子供でも、贈与税が掛かる訳でもなく、所得税も課せられない、いわば税金のめったに掛からない有り難い大金なのです。
ところが昨今、この所定の高度障害を巡る保険金請求のトラブルが相次いでいます。
確かに、死は誰にでも一目瞭然で、偽りようもありませんが、重たい障害を負ったと言ってもその基準は曖昧で、自分の思うところと、保険会社の思うところはどうしても誤差が生じます。
結果、トラブルになるのだろうと思いきや、決してそうではなさそうです。
というのも、この高度障害認定そのものは至ってシンプルで、完全に失明してしまったとか、両手両足を失ってしまったとか、頸椎や脊髄の損傷により、ほとんど寝たきりになってしまったなど、誰が見ても明らかに重度身体障害者であると分かるような状況で、且つ、治療やリハビリによる改善や回復の見込みがない場合ですから、思いのほか判定しやすいものなのです。
トラブルになる理由は?認知症患者の対応
では、何故もめるのか?
それはズバリ、認知症患者の対応についてです。
認知症になれば、寝たきりになる事も珍しくない訳ですが、それは脳障害が原因であって、脊髄や神経性の病気が要因ではありません。
よって、生保の高度障害の対象にはならないのです。
とはいえ、近年は脳血管性にせよ、アルツハイマーにせよ、若くして発症する人が増えています。
驚くべき事に、もはや50人に一人が50代で初期症状が出始めると言われていて、実際、現役バリバリの状態で闘病生活を余儀なくされる人も珍しくはなくなって来ているのです。
このように、65歳までにその症状が明らかになると、「若年性認知症」と認定され、就労や従来通りの社会生活が困難になります。
しかし、立派に寿命がある以上、生きなければならない訳で、家族もそれを支えなければなりません。
そうした時、たちまち生活苦が訪れるケースは大いに考えられるでしょう。
指定代理人請求について
最も困る事例としては住宅ローンの支払いです。
実は、先述したような高度障害を負った場合、死亡時と同じようにローンに付帯している団体信用保険によって残高が完済される仕組みになっていて、直ちに困るという事はないのですが、認知症となると、それができず、返済を続けなければならないという大きな課題が突きつけられます。
民間の保険会社で加入している生命保険の取り扱いも同様で、入院すれば給付金が受け取れるものの、まとまった保険金や収入保障は出ませんから、大した助けにならないと途方に暮れる方も少なくありません。
ならば、既存の終身保険を解約し、返戻金で何とかしようと考えたはいいけれど、ここでもまた現時点で契約者が生存しているというネックが立ちはだかります。
仮に被保険者が冷静な判断が不能な状態に陥ったとしても、原則、全ての保険は契約者に全ての権利があり、契約者イコール被保険者であるという最もオーソドックスな契約パターンの場合、受取人が誰であろうが、どうする事もできません。
解約手続きはもちろん、入院給付金や高度障害認定を受け、その保険金を受け取る手続きは、契約者自身が行わなければならないのです。
けれど、高度障害を負ったり、アルツハイマーになったりすれば、それが不可能であると言っても過言ではないのが現実でしょう。
そこで必要になるのが「指定代理請求」なのですが、これはあらかじめ保険会社に届け出をしておかなければならず、また、代理人自身も把握していなければなりません。
実際、この機能が正常に作動しないがために、保険金や給付金を受け取れる権利があるにも関わらず、放置状態になっている加入者が続々!
これもまた、高齢化社会を象徴するような現象の一つと言えるでしょう。
必要であれば元気なうちに契約者名義や受取人を変更する
受取人や代理指定請求人もまた他界していたり、ボケてしまっていて請求がなく、未払いとなっているお金が溢れかえっているものと見られるのです。
そのため、元気なうちに、その辺りも再度見直し、必要であれば、契約者や受取人名義を変更しておく事も必要なのかも知れませんね。
加えて、昨今登場した要介護認定を受けた段階で、それこそ高度障害補償の特約とも言える形で保険金の下りるようなプランに加入しておくのも、一つの手だろうと思われます。
なぜなら、認知症と診断されれば、悲しい事ですが、やがては要介護3レベル程度にまではみんななります。
それも、そう遠くはないだろうと予測できるからです。
特に住宅ローンを抱えておられる方なら、この特約を付帯させた団体信用保険を取り扱う新生銀行などで融資を受ける事も検討されるべきでしょう。
さらに、終身保険というのは、何十年もの長い年月を経て請求権が生じるものだけに、自分自身を取り巻く状況が大きく変化する事は十二分に考えられます。
先述のように、妻に残すつもりが、その奥様の方が早くに旅立ってしまう事もありますし、離婚して請求権を失う事もあります。
そうなると、やはり自分の意思が自由に作用する間に、任意後見人等を正式に指定しておく事が重要になりそうです。
このように、生命保険というのは、単に中身を見直すだけでなく、こうした契約の形態も事あるごとに見直す事が大切です。
そして、認知症対策をあらかじめ講じておく事は大事だと言えるのではないでしょうか。
新たな保険契約だけではなく、こういった諸問題の相談にも乗ってもらえるのが保険のプロであるファイナンシャルプランナーです。
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