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返戻金の戻りがある貯蓄型はNG!?生命保険を法人の経費として計上するには!?
資本金1円でも株式会社が作れる時代になって早丸10年!
そこにフリーランスブームのようなものも加わって、近頃一気に法人設立する人が増えました。
どうせ独立して頑張るなら、やっぱ社長になりたいもんね!
と言ったところなのでしょうか?
いえいえ、決してそんな安易な考えで皆さん、一国一城の主になられる訳ではないでしょう。
まあ多少は、そういう気持ちもなくはないとは思いますが、やはりそれ以上にメリットが大きく、取り分け、損金の範囲が広がる分、節税が出来るという部分に魅力を感じられるのだろうと見られます。
個人事業主の場合は経費としては認められない
例えば生命保険、これなんかは、自分に万が一の事があった時、たちまち家族だけでなく、取引先にも迷惑を掛ける事が否めませんから、そういう自体にも対応出来るようにと思って加入する訳ですが、個人事業主の場合は、経費として認められません。
確定申告して、所得税の保険料控除を受けるのが関の山ですが、それが法人になると、世にもあっさり経費計上できてしまうのです。
というのも、法人である以上、常に存続する事が宿命であり、それを確固たるものにするためには、経営者が他界したり、高度障害を負っても、資金繰りに困らないような状況を作る事が義務付けられます。
そこで、その対策として、生保に入っておくという理屈になる訳です。
加入の際の注意点!貯蓄性を持つ終身保険は経費として見なされない
ただし、これにはいくつかの注意点があります。
特に気を付けないと行けないのは、経費イコール損金であるという点!
損金と言うと、何だか嫌なイメージを持たれる方もおられるようですが、法人営業においては、決して特別なものではありません。
出て行ったきり、自分たちの意思では取り戻せないお金全てが該当し、大半の支出が当てはまるのです。
となると、当然、例え会社存続のための準備金となる生命保険であっても、生存中に現金化できるような商品は、預貯金と同じであって、出費は出費でも、損になる出費ではありませんから、必要経費ではないと見なされ、法人税の課税対象になってしまいます。
よって、多くの方が、個人で加入しておられる終身保険、これなどは、貯蓄性を持つもので、解約すれば、返戻金が返って来るところからNG!
ましてや、養老保険や学資保険のような満期金のある積立型の商品などは、最初から戻って来る事を前提に払い込んでいるものですから話になりません。
そう、あくまでも掛け捨ての定期保険か医療保険でなければならないのです。
そのため、これまでの掛け金がもったいないからと言って、既存の保険をそっくりそのまま名義変更すると、部分的にしか活用できない事も大いに有り得るでしょう。
契約者名義は法人名であることが必須!
後、これは言うまでもない事ですが、契約者名義は法人名である事が絶対条件です。
例え法人から個人に対して労を労う意味で掛けているのだと言っても、取り合ってはもらえません。
ただ、被保険者と受取人については、法人であっても個人であっても構わないところから、ここにも様々な利用方法と価値が出て来るものと思われます。
まず、最もオーソドックスなのは、社長や役員を被保険者として加入する法人契約の法人受け取り型!
これは定期保険であれば、100パーセント経費計上が可能で、仮に家族が従業員になっていれば、彼らを被保険者にしても十分罷り通る節税対策です。
また、被保険者が従業員で、受取人がその家族という場合でも、契約者が法人なら、これも大丈夫!
というのも、社員に何かあった時の見舞金や退職金を支払うための準備であるという名目が成り立つからです。
ですので、特に外回りや機械作業などの多い会社では、是非加入されておかれると安心でしょう。
ただし、この場合の勘定科目は、福利厚生費に当てはまりますので、帳簿上の処理を誤らないように気を付けなければなりません。
生保で積み立てできる定期保険も登場
さらに、昨今は、生保でこっそり積み立てができるような不思議な定期保険というのも続々と保険会社はリリースしていて、それらを巧みに活用する事により、より一層の法人税の軽減が可能になるものと思われます。
何しろ、個人顧客の新規契約が頭打ち状態になっている現代社会において、保険会社が力を入れてアプローチしたいのが法人様!
そこで、次から次へと、法律の編み目に潜り込めるような作品を編みだしている訳ですね。
ただ、世には、業界ごとの利益率の目安というのがあって、それを大幅に上回ると、逆に正当性の高い申告であっても、税務署に目を付けられる事は珍しくありません。
また、法の目をかいくぐるという事は、常に危険と背中合わせであるという事で、新米社長が下手に手を出すと痛い目に遭う事もよくありますし、何より、法令が変われば、たちまち条件が変わるというリスクも低くないでしょう。
という事で、本当に必要だからという前提で生命保険の加入と経費計上を検討される事が大切なのではないかと思います。