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以前はよく耳にした、交通事故被害者と名乗る人物が、莫大な慰謝料請求で車を買ったとか、ちょっとしたお金持ちになる話などは、実際にあるんでしょうか?

その答えは、そうした話は全くのデタラメですということになるでしょう。
理由は損害賠償請求というのは、大半が実費だからです。

精神的苦痛に対する慰謝料に損害保険会社は関与しない

損害保険金の仕組みを知らない人は、損害というと精神的苦痛も含まれると思いがちです。
しかしそれを争点に裁判で決めるにしても、損害保険会社は基本的に関与しないことになります。

それは、まず第一に保険金を計算する根拠が必要となるからです。
それが、怪我の治療に関わる治療費、入院費、通院費です。
心のケアに関しては、当事者同士の話し合いの問題ということになります。

他には、車の修理や損害を与えた物品など、実損として計算できるものだけで、これらは直接保険会社が全て医療機関か修理工場へ支払う事になります。

仮に怪我をした人と、医療機関や修理工場に利害関係があったとしても、裏付けのない被害者の直接請求は、多くの損害保険会社は受け付けません。

損害保険会社の認識では、「障害慰謝料」といって、怪我の治療に関する実際の費用を負担することで慰謝料としているのです。

過去に問題になった事例

narrator
自動車保険の詐欺の手口は、組織的な場合があります。

2014年の話ですが、福岡県警で逮捕されたのは、被害者と加害者が同じ犯罪を犯したグループであり、車両修理などに関して、修理にかかる費用などを被害者役と加害者役で騙し取った保険金を山分けしたなどですね。

他には、土木関連会社社長が事故の被害にあった従業員を偽装し、休業補償をだまし取るなどがありました。

他には、岩手県であった事件では、インターネットオークションで安い廃車寸前の高級輸入自動車を購入し、会社員、造園業の経営者、飲食店経営者などが共謀し、交通事故を偽装、やはり車両保険の支払いを受けた直後に車を廃車して、利ざやを得るなどが例としてあります。
前述は6人で、後者は11人、中には中古自動車販売業者も関与していたそうなので、正に集団詐欺の典型ですね。

この中には、損害保険会社の営業マンが、自己の成績を上げるためにとある事業者に、保険加入審査が通りやすい条件を提示し、損害保険金不正請求のアドバイスをする見返りに、会社の従業員全員に保険金加入をしてもらおうといった詐欺容疑で逮捕された事例もあります。

また、よくあるのが小さい診療所と被害者が利害関係にあり、事故後のリハビリで診療所が水増し請求を繰り返し、その見返りを通院する被害者に支払っていたケースなどもなどもあり、逮捕された人間同士で利益供与の関係があるのも大きな特徴です。

保険金請求履歴を各社で共有できるシステムを導入

これらの事件が発覚したのは、実は保険請求の履歴から疑われ、詳細な調査が入ったからですね。

例えば、繰り返し同じような事故を起こしていて、保険会社をコロコロと変更しているため、損害保険会社の方で警察に報告が上がったようです。
他には、無価値のガラクタ骨董を車載して、軽微な事故で多額の物損の請求をするなど、巧妙な手口も多くなってきています。

2015年からは、ほとんどの損害保険会社で、保険金請求の履歴を各社共通で情報共有するシステムを導入しており、これを火災保険などの分野にでも活用しようとしています。

刑法第246条における定義は、人を欺いて財物を交付させたものは10年以下の懲役となっており、他人にこれを得させた者も同罪としています。詐欺には、執行猶予はつきませんから、最高刑の場合は10年間刑務所に入ることになります。

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