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自動車保険は、「万が一の重大交通事故」への備えが基本となってます。
この「万が一」は保険会社にとっては非常に重要で、無事故を続ける保険契約者は、会社にとっては非常に多くの利益をもたらしてくれる良質な契約者ということが言えるでしょう。

等級が下がると損保会社からの信頼が低くなる?

だからこそ、公平性ということもあって、契約者同士を等級という階級制度で事故率を定め、事故を起こしやすい人を、1年間の事故回数で振り分けているのです。
それくらい、自動車における交通事故損害賠償とは、いつの時代も費用が膨大にかかるものなのです。
しかも賠償責任は、交通法のなかにも厳しく規定があり、これを遵守することが自動車保険契約でも大前提となっています。

つまり等級が下がるということは、損保会社からは信頼が低いとも取れ、だからこそ各社が情報を共有し、等級はどの損保会社も引き継げるような仕組みがあるのです。

ネット接続が可能な端末を搭載した車両

近年の自動車のハイテク化によって、ネット接続が可能な端末を搭載した車両が販売されるようになりました。
自動車などの移動体に情報端末を組み入れるため、Telecommunication(通信)とInformatics(情報科学)を縮めて命名された造語が、テレマティックスです。

日本の国産主要3社が既に運用を開始しており、その端末情報を使った自動車保険契約が、テレマティックス自動車保険です。
目的は、ナビゲーションシステムから送られる情報を、自動車会社のクラウドネットワークに接続し、その情報を損保会社と共有、急ブレーキの回数、急発進やスピード情報を基に保険料に反映する仕組みです。

最初に運用をスタートさせたのは、欧米各国で、イギリスが非常に加入者が多いそうです。

導入によるメリット

これはやはり、自動車会社が安全運転の状況を把握する目的で、自動車運転の情報といった現実のデーターだけを手に入れることにより、等級制度よりも確実に契約者の運転資質を把握できる点にあります。

事故率が低いことを、現実にリアルタイムで損保会社は把握できますから、保険料割引に適用させる際に、その情報量は、等級による区別よりも更に鮮明になるでしょう。

一方の保険契約者は、「無事故であれば、等級が上がって割引も多くなる」という事実は、既に多くのドライバーが周知しているのですから、ナビゲーション・システムによって、謂わば監視される状態によって、自然と安全運転への自意識が強くなります。

そのため、2014年から国土交通省がこのシステムに関する検討会を開き、政府が推し進める国家IT戦略の一環として、導入促進を掲げているようです。
運転者の資質さえもビッグデーター化する試みですね。

本格導入はこれから

いち早く、テレマティクスを導入したのは、日産の本格的な電気自動車「リーフ」で、損保ジャパンが提携して、より詳細な走行距離を把握し、保険料に適用させる自動車保険を販売開始しています。
しかし、運転状況を把握するようなテレマティクスは、まだ日本では本格運用されていません。

やはり、仮に不特定多数の単なる運転状況とはいえ、上記にも触れたように、見方を変えれば自動車システムによってドライバーが監視される状況と言えなくもないです。

そのため、本格導入にはまだ議論が必要であるという段階なのが、今の現状ですね。

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