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資格なしでも大丈夫?介護職員初任者研修 できること・できないこと
2013年度からホームヘルパー2級資格に代わって介護職の入り口の資格となった介護職員初任者研修資格ですが、実際に施設などで働く中でこの資格をもっているからできること、またこの資格ではできないことがあります。
また、介護施設で働こうとした場合には無資格でも仕事を始められるのですが、その際にこの介護職員初任者研修資格を持ってないことで、不都合となることがあるのか、そして無資格の場合にできること、できないことはあるのかという点について、ご紹介していきたいと思います。
無資格でも働ける?
現時点においては、介護施設で働こうと考えた場合には“無資格者でも働ける”ということになっています。もちろん求人情報などにも「無資格・未経験者可」という文言が掲載されている施設もとても多いです。
これは、高齢者介護施設の運営に関わる法規である介護保険法において、今のところ施設における介護員の資格が問われていないためです。よって、無資格者も初任者研修・実務者研修有資格者も、介護福祉士も施設内ではとくに関係なく、同じ業務を行っているというわけなのです。
もちろん施設によっては有資格者と無資格者を明確に線引きしている所もあるのですが、多くの介護施設では昨今の人手不足も手伝ってか、有資格者への若干の加給はあっても、業務内容そのものが資格によって区別されているというところはあまり見られていないようです。
訪問介護は無資格では従事できない
では、無資格であっても初任者研修の有資格者であっても給与以外の違いはないのでしょうか。この点については、介護職員として働きたいと思った場所が「訪問介護」だった場合には、大きな影響を及ぼすことになります。
実際に高齢者の方のお宅に訪問して様々な援助や介助を行う訪問介護では、基本的に一人で介助をしたり利用者の状況や様子を見て、一人で報告を含めた判断を行わないといけないことなどから、介護職員として「高いスキルと経験」が必要であると考えられているため、無資格者では従事できないと決められています。
働きながら資格取得
では、無資格であっても訪問介護の分野で働く意思が無い場合には、初任者研修の資格取得を検討する必要はないのでしょうか。
私の知人で、無資格の状態で働き始めたある方の施設での話なのですが、そこでは無資格で働いている方も多く、新しく採用された場合でも有資格者と同じ業務を求められるので、本当に全く知識が無い状態で入職した人でも、入職後先輩に付きながらすべての仕事内容を覚え、2ヶ月目からは夜勤の際に入所者20人を1人でみるということを求められるということでした。このとき、やはり「知識がない、自信がない」ということで不安に思い、入職後自ら申し出て、働きながら初任者研修の資格を取りに行くことにしたそうです。
しかし、やはり働きながら家でも勉強したり、夜間や休みの日に講義を聞きに行ってせっかくの休みが潰れてしまうのは辛い時も多かったようで、「就職する前にとっておけば良かった」というのが、素直な感想だったということでした。
この知人のように、無資格で介護施設に就職したけれども、日々の先輩からの指導だけでは業務に不安を感じ、結局介護職員初任者研修を始めとした資格取得を決意する介護職員も決して少なくないようです。
医療ケアを行える実務者研修の資格
ここで“初任者研修を始めとした”とお話ししたのは、初任者研修資格でもできないことがあるため、仕事をしている中で「どうせなら“これ”もできる資格を取っておこう」と考える方がいらっしゃるためです。そしてその資格は、介護職員実務者研修資格です。
初任者研修資格では、喀痰吸引や経管栄養の交換といった一部の医療的ケアを行うことができません。このため、せっかく働きながら資格取得を目指すのであれば、『介護のことも少しは現場で見てきたし、実務者研修もやれるのでは』と考え、この資格を取る方がいらっしゃるようです。
このように、いくら無資格・未経験から介護職員になれるといっても、実際に働き始めてみると“無資格であるが故の不安や恐怖”にぶつかり、結局は資格取得に向けて動くという方が多いです。これは、「介護」という仕事に対して真面目に向き合って日々仕事をしている若い方に多い傾向であるという特徴でもあるようです。
介護の仕事は、不景気な現在の雇用状況の中でも特にリストラや失業をするリスクの少ない職業であると言えるのではないかと思います。そんな介護の世界で長く働いていこうという思いがある方は、無資格での就職よりも時間に余裕がある時に前もって介護職員初任者研修などの資格を取得しておく方がおすすめです。