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保険金詐欺と言えば、夫や妻に何千万という多額の死亡保障を付帯させた生命保険を掛け、適当な時期に殺すというのが最もメジャーと言いますか、何と言いますか・・・。

近頃も、京都でその手の大きな事件があり、新聞やテレビを騒がせていました。
当然、あのおばちゃんの手にした大金は、詐欺無効で没収!

まあもっとも、あの年からあれだけの凶悪犯になったのですから、恐らく残りの人生は刑務所で送る事となり、お金なんて必要なく、ご苦労様と言ったところですね。

しかし、この手の保険金詐欺は、現実には、流石に人殺しですから、いくら多額のお金を手にできるとは言え、そう頻繁に起こるものではありません。

実際、保険を巡る事件全体から見れば、ほんの数パーセントに過ぎないと見られ、また、それでも多いくらい、本来は決してあってはならない事なのです。

実際に多いのは損害保険を巡る犯罪

narrator

では現実の保険金詐欺としては、どう言った手口が最も多いのでしょうか?
それはズバリ、生命保険を巡る犯罪ではなく、損害保険を巡る犯罪です。

そもそも損保というのは事故で損傷を負った時に保障されるもので、病気以上に必要になる可能性は高いと言えます。
なぜなら、どんなに丈夫な人でも車をぶつけないとは限っていませんし、ましてや歩行者としてや同乗者として、さらに日常生活での転倒や落下なども加えると、その確率は益々増します。

そう、一歩歩いてドカーン!
これで、保険会社からの給付金が受け取れる事になるのです。

もちろん怪我の内容や度合いによって、本当に身動きが取れなくなる事も一般的で、不慮の出来事となると、肉体的にだけでなく精神的な苦痛も大きいでしょう。
その代償と、安心して休養し治療を受け完治を目指すためにも、それは必要なお金で、加入している以上受け取る権利はあるのです。

ところが、こうした事故に対する入院や通院の給付金は、1日いくらという形で計算されます。
そのため、その日数が増えれば増えるほど、入金も増える!
早い話、儲かる訳です。

例えば、入院日額1万円で、その後の通院については、1回当たり3,000円払われるプランに入っているとしましょう。
それで入院が2週間、通院が土日は通えないとしても10日と見ると、まず、1万円×14日で14万円!
それプラス、3,000円×10日で3万円ですから、合計17万円となり、なかなかの高収入です。

確かに、これだけあれば1ヶ月間仕事を休んでも何とかなるというもので、これはかなり正当な損保の利用だと言えます。

掛け捨てメインの安価な損保は審査も緩い?

narrator
しかし、掛け捨てがメインで比較的月々の保険料が安価な損害保険は、生命保険とは異なり面倒な審査もほとんどありませんから、誰でもが簡単に加入できます。
そこで、複数の保険会社で契約している人は珍しくないでしょう。

すると、もし仮に、3社で類似の商品に加入していれば、先のケースだと17万円×3社分で、月の手取りは50万円を楽に超えます。
もし、そこそこの重傷で、退院後も経過が思わしくなく、1年間平日は毎日病院通いしたとして下さい。
例え日額3,000円の通院保障でも、20日で6万円×3社分となると、18万円で、働かなくても何とか生活して行ける事になります。

しかも、こうした保険金目当てで怪我をする人は、ほぼ100パーセント、例え相手があっても自損に近い事故で、必ず軽傷でも長期入院や通院を要するそこそこの重傷と決まっているのです。
そして、実際には、もっと高額の入院日額1万5,000円、通院日額7,000円というような上限一杯の所謂最高級プランに入っている可能性大!

おまけに相手がいて、そちらに非があるとなると、治療費は相手の自動車保険などから支払われますから、自分の損保からの給付金は、まる儲かりという訳です。

それでも保険会社にして見れば、契約していて怪我をしている以上、よほどの不審な言動が見られない限り指定の給付金は支払わなければなりません。
何しろ、先述の通り、見た目は至って正当な利用なのです。

どこの会社も、数ある同業者の中から、うちを信用し頼りにして加入して下さっている大切なお客様!
誠心誠意対応させて頂きますと担当者は言います。

数社にて契約し、全社から保険金を受け取るのはタブー!

けれど、これは知る人ぞ知る立派な犯罪!


実は、数ある保険会社の中から、うちを選択してくれているというこの思いにそのからくりはあって、通常、1件の事故につき、1社の保険会社からしか保険金は受け取れない事になっているのです。

つまり、数社で契約するのは自由ですが、その全てに事故報告をし、全社からサポートを受けるという事は完全なる詐欺罪で、当然、気が付けば保険会社は摘発に乗り出す事が可能になります。

そこで、生命保険と同様、損害保険にも告知義務というのが存在し、それは他社との契約があれば、それを事前に報告する事とされているのです。

すると事故発生時には、保険会社同士で話し合い、今回はどこが支払うか?
あるいは、全社で均等に一定額ずつを支給しようというような流れになります。
こうして、正当な利用に持ち込まれる訳です。

とは言われても、その実態を掴み、さらに証拠を挙げるとなると、決して容易な事ではありませんし、何と言っても保険会社の営業上の課題も大きく関わってきます。

今後は大きな社会問題へと発展する可能性も?

とにかく、顧客の数と契約件数、これが自社の規模を決め、自らの給料を決めるのがこの業界!

そのため、この人は他社でも加入していると薄々感づいてはいても、それが明らかにできないのをいい事に追求せず、何食わぬ顔で勧誘する営業と、同じくその話に乗り何食わぬ顔で契約する客との間で既に、保険金詐欺のシナリオは書き上がってしまっていると言っても過言ではないでしょう。

そうなると後はそれを演じるのみで、幕が開いたら最後、こうした詐欺紛いの負傷であっても、意思の診断書さえあれば、容易にまとまった金銭が動きます。

これが最もオーソドックスな手口で、実際、違法であるという意識など全くなく、経験された善良なる市民の方も少なくはないのではないでしょうか。

ただ、その発生件数が減らないという事は、成功する確率が高いという事で、恐らくこれは今後、大きな社会問題となって行くものと考えられます。
そうすれば、必ずや詐欺による取り消しというのが多発するでしょう。

その一方で、生命保険を巡る詐欺としては、加入時に記載しなければならない健康状態や過去の病歴等を偽った告知義務違反が最も多く、こちらは損保とは正反対!

世にもあっさりばれ、悪質であると判断された暁には、その保険金や給付金の支払いは詐欺無効として処理されてしまいます。
もちろん契約自体が詐欺による取り消しとなり、強制解除!

解約返戻金も戻って来ませんので、素人が良からぬ企みをするのは、完全に骨折り損のくたびれ儲けだと言えるでしょう。

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